2019年12月10日号
広辞苑
ボーナス・シーズン。とはいえ、大企業や役所を別にすれば「今年はいくら出るのだろう」「本当に出るのか」と気を揉む年の瀬ではなかろうか。3年前に就職した娘はボーナスがちっとも出ないと言ってさっさと年俸制の会社に転職してしまった。そのほうがスッキリしていいのだそうだ。ボーナス時期のたびに気を揉んだ...
2019年11月25日号
秋は日本酒
日本酒は辛口が好きだ。口に含んだときにキレがあって舌にまとわりつかないのがいい。そうして辛口の酒にしょっ辛い肴をアテるのだ。たとえばイカの塩辛。何もなければ塩でいい。
肴に箸を走らせ再び酒を口に運べばアーラ不思議、辛口の酒のどこからともなくほのかな甘みが湧いてくる。このほのかな...
2019年11月10日号
ラグビー人気
災害に沈む心をひと月にわたって盛り上げてくれたラグビーW杯が成功裡に幕を閉じた。テレビ放映は今年最高の視聴率を叩き出し、ファン急増で地域のラグビー教室にはこどもたちが殺到している。この勢いを駆って日本ラグビー界はプロ化へ進むという。
ラグビーというスポーツは以前から決して人気の...
2019年10月25日号
ボランティアのプロ
台風15号と19号で災害が東日本の広い範囲に拡がる中、多くのボランティアが活動している。
筆者が災害ボランティアというものを初めて知ったのは1995年の阪神淡路大震災の時だった。この年を「ボランティア元年」と呼ぶことがあるそうだ。のちに長野県知事となる作家の田中康夫さんが額に汗...
2019年10月10日号
台風復旧は長期化する
日々のテレビニュースからは消えつつあるが、前号に続いて台風15号被害の続報。方々で引っ張り凧のブリキ屋さんが我が家の屋根を見に来てくれた。幸い異常なしとのことでひとまず安心。職人は言う。
「こういうの(災害復旧)はよくないね、疲れるねぇ。たくさん仕事があるっていったって自分のと...
2019年9月25日号
空白の2日間
停電したのは9月9日月曜の0時から2時の間だった。台風15号で被災した話である。そうして我が家に灯りが戻ってきたのが12日木曜18時半ごろだった。ほぼ4日間にわたって電気が止まっていたことになる。
筆者の住む地域は市水は出るしガスも使えた。停電の影響で多くの店は閉めていたものの...
2019年9月10日号
カモフラージュ
朝起きて窓を開けると網戸に木の枝のようなものが引っかかっている。よく見ればナナフシだ。網戸につかまっているから見分けがつくようなものの、森や林の中だったらまず小枝と見誤るだろう。生物が周囲の環境と容易に見分けがつかない状態にあることを擬態という。その方法は色や形や行動など様々だ。
...
2019年8月25日号
鰻屋
ことしの土用の丑の日は7月27日で、もうとっくに過ぎてしまったが夏場は鰻でも食べて精をつけたくなる。
筆者は鰻が好物なのだが、我が家の子どもたちで鰻が好きという者はいない。それどころかむしろ敬遠している。思うにこれはおいしい鰻屋の味を知らないからなのだ。
何しろ「...
2019年8月10日号
夏に出るもの
夏の風物詩といえば蝉の声、蚊取り線香、風鈴、かき氷、花火大会、祭り、夕立、盆踊り、枝豆、生ビール、ホッピーと枚挙にいとまがないけれど、そのうちのひとつに怪談がある。暑い夏の夜に一服の涼を提供する怪談話だ。夏の闇はたしかに何か出そうな気配に満ちている。子どものころの肝試しもやはり夏だった。肝を...
2019年7月25日号
ボサノバ
1960年代、我が家のサニーの運転席と助手席の間にはエイト・トラックのカーステレオがついていて、そこからエンドレスで流れ続けていたのはボサノバだった。運転はもっぱら母親で、助手席でステレオを操作していた父親の趣味だったのだろう。
ボサノバは50年代後半に生まれ、60年代に世界的...