オヤジの喜怒哀愁

2017年1月25日号

井戸の水

 暮れに引越しをした 。数えてみると人生7回目の引越しである。住む環境が変わると暮らしぶりもそれなりに変化するものだ。
 新居には井戸があって電動ポンプで水を汲み上げ、生活用水として使えるようになっている。上水も来ているのだが、井戸水が身近にある暮らしというのは初めてのことである。<...

2017年1月1日号

過去の清算

 物が増えすぎてあたりが狭くなってきたので暮れの大掃除を機会に処分を断行した。長く保有していた物も多く、アルバムを捨てるようで寂しい気もするけれど、空間にも価値がある。ゴミの中に埋まっているような生活よりも物のない広い空間ですっきりとした気分で新年をスタートしようというわけである。
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2016年12月10日号

カラスの群れ

 木に成っている温州みかん、冬みかんが紅く熟しおいしそうな色になってきた。手の届く範囲はあらかた収穫したのだが、鳥除けの網でも掛けようかと悠長に構えていたら、まだ木の上のほうに残っていた大きくてうまそうなみかんはアッという間にカラスの餌食になってしまった。
 裏山にカラスの塒(ねぐら...

2016年11月25日号

木を切る道具

 11月も終わろうとしているが、このくらいの季節になって農家がホッとすることの一つは草が伸びなくなることだ。3月から11月くらいまでは草刈りに追われる。刈っても刈ってもすぐに草は伸びる。畑にしても果樹園にしても田んぼにしても草との戦いに明け暮れると言って過言ではない。それが、この時季になるとし...

2016年11月10日号

マッチ

 株式市場は相場の世界のことゆえ、どこかくだけたところがあって銘柄を口にするとき、つまり会社名を言うときにニックネームで呼ぶことがある。業界用語である。あだ名のつけ方にはいろいろなパターンがある。
 そのうちの一つにテツ、オルゴール、ナマリ、バッテリー、バネ、アーム、ロープというふう...

2016年10月25日号

砂まみれの老婆

 仕事場の近くの小さな海岸に出かけた。海辺の風は気持ちがいい。真夏だって涼しいし、今時分の風は昼寝でもしたくなるような心地よさがある。車窓から見る秋の海に人影はまばらである。堤防に釣り人がひとりふたり、砂浜に数人。のんびりとしたものだ。
 砂浜にいる数人の男たちは何かを取り囲むように...

2016年10月10日号

今は二度ない

 以前よく通ったジャズ酒場に「百年の孤独」という焼酎がおいてあった。皇室のどなたかが「おいしい」と言われたことが世に伝わり、森伊蔵ほどではないにせよ大変なプレミアムがついた焼酎である。この店はプレミアムがつく前からおいていたので、数に限りはあったものの入荷すれば定価で出していた。良心的な店なの...

2016年9月25日号

虹をくぐる

 虹という漢字が虫偏なのは、中国で虹が蛇や竜と考えられていたことに由来するらしい。日本では、イザナギとイザナミは虹を渡って下界に降りてきた。虹を見るといつも一時、浮き世から離れそんな神話的世界に引き戻される。田舎で暮らしていると都会で暮らしている時よりも虹を見る機会が多い。きっと空気が澄んでい...

2016年9月10日号

ヘタムシ柿を食べる

 まだ暑い日が続いている。残暑である。彼岸までは仕方がないが、太陽は大分傾いて朝晩はしのぎ易くなってきた。子どものころから夏が好きだった。盆を過ぎるとなんとなくもの悲しい気がしたものだが、近年は今ごろになると夏は十分堪能したのでもういいから一刻も早く秋になってくれぬかと念ずるようになった。夏が...

2016年8月25日号

優雅なスポーツ

 リオ五輪も熱戦の幕を閉じた。映像を見て改めて実にいろいろな競技種目があるものだと感心した。そして、錦織圭選手とスペインのナダル選手の試合を見ていて、テニスというスポーツはつくづく優雅なスポーツだとさらに感心したのである。
 観客席を見る限り座っていても汗をかくほどに気温が高いように...