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扉の先57/AMR→複数台・異種を短期導入

協働ロボ→手押しで移動、すぐ起動

多くの工場で多数のAMR(Autonomous Mobile Robot=自律走行型搬送ロボット)が行き来する時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。そう感じさせるのはオムロンが1年ぶりにアップデートし、9月1日にグローバルで提供を始めたフリートマネジメントソフト「Flow core2.1」。シミュレーション機能によりAMRの短期導入や、タイプの異なる複数のAMRの統合コントロール(同社製に限る)、走行データ分析による継続的な走行効率改善を実現する。

オムロンの工場で部品を搬送するAMR

工場の制御機器や電子部品メーカーのオムロンがAMRを手がけるようになったのは1997年。20年以上かけて世界40カ国で数千台が使われ、総稼働台数は世界首位という。そんな同社が自信をもってリリースしたFlow core2.1には新たな機能が加わった。1つは走行データの可視化・分析で、走行実績からヒートマップ(AMRがどこで停滞しているか)、パスマップ(どこを走行しているか)、使用率(位置密度マップ)などを可視化する。もう1つはデジタル空間上で複数台のAMRを群れと見立てて制御し走行量をシミュレーションする。サイズと積載可能量の異なるAMRでも問題ないという。

多品種生産を担う同社の綾部工場(京都府綾部市)で7台、草津工場(滋賀県草津市)で4台のAMRを利用している。「直接ティーチングするのでレイアウト変更は容易。搬送ロボットと人が柔軟にすれ違える。可搬60㌔グラムから15㌧までの最多3タイプ100台を動かすことも可能」とまで言う。

従来ソフトの利用者はアップデートすれば最新機能を手にできることもあり、今夏から引合いが増えている。「スマートファクトリーを目指し搬送を自動化・デジタル化する流れにある。今後3年で(AMRに絡む)市場が4倍超に増えるという予測もある」とする。導入にかかる費用は非公開だが、「年会費はお求めしやすい価格で、一般的に現場の決裁で可能な範囲に抑えた」としている。

■5分でセットアップ

一方で工作機械メーカーは機械回りに配置して手軽に使えるロボットシステムを用意する。DMG森精機が8月に販売を始めた「MATRIS Light」は手押し台車に協働ロボットを搭載したもので、ロボット操作の専門知識がなくても教示できるダイレクトティーチ機能をもつ。写真のように作業者一人で使用中の工作機械前に配置するだけで、短時間でワークの搬入出を自動化できる。セットアップに要する時間は約5分で、使わないときには脇に寄せておけばよい。多品種少量生産の自動化を想定する。

滝澤鉄工所が7月、2年ぶりに本社ショールームで開いた自社展で初披露した「TR-10W」も「設置から起動まで最短5分と圧倒的な時短がウリ」だ。ワーク、機械の情報をガイダンスに従って入力することで教示が不要になる。やはり手押しで運べて複数台の機械に対応する。