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扉の先60/自律性増すマテハン

キズつけず、長いリーチで素早く

マテハンにロボットが利用され自律的に稼働するようになってきた。だが、それらが提供する価値はそれだけではない。搬送物をキズつけず丁寧に扱い、長いリーチで高所にも手を伸ばし、素早く運ぶ。そんな機能が強化されている。

AGVとカート装置を組み合わせた西部電機の自動積み付け・運搬装置。3日間で実演できる形に設置した(写真はいずれも10月に東京ビッグサイトで開かれた「国際物流総合展2021 第2回INNOVATION EXPO」から)

立体自動倉庫などで知られる西部電機が新たに提案するのは、同社初となるけん引式AGV(無人搬送車)「TOWS03」(年初に発売予定)と6輪カート自動積み付け装置「トランシップ・カートローダー」の組み合わせ。飲料など重くて数が多いケースの搬送に向く。「20㌔グラムまでのケース(60~160サイズに対応)なら2面式エアー吸着で丁寧に隙間なく積み付けができるので製品にキズをつけない」と言う。4段分積むとAGVが自らカートに連結してけん引する。

オムニヨシダもケースをキズつけない。パレット自動交換機「パレスルー」はケースを積み上げたまま押し出してパレット交換するものだが、新型は両サイドに設けた板でケースを挟んでパレットから浮かせた状態で交換する。「底面にキズが生じることを懸念して当社製品の導入をためらわれるお客様もいたが、新型ならケース底面とパレットが擦れない。これまで推奨しなかった木製やメッシュのパレットでも問題なく使えるだろう」と細部にこだわった。

■コンベア連携など 一括提案

より高い所へのアクセスも難なくできるようになってきた。中国・深センに本拠を構えるHAI ROBOTICS(今年8月、埼玉県入間郡に日本支社設立)はACRAutonomous Case-handling Robot)と呼ぶ「HAIPICK」を物流やFA分野向けに提案する。棚の間の狭い通路を通って高さ6㍍の位置にあるケースにもアクセスするもので、6ケースまで一度に掴んで運べるという。同社は今月、日本支社にショールームを併設し、「ACRをはじめコンベアと連携したハイポート(出庫能力毎時500箱)などをご覧いただく」とスタートアップらしく小回りをきかせる。

山善もテックマン製協働ロボットを利用したパレタイジングシステムのリーチの長さと丁寧さを訴える。ロボットに昇降ピラーを付け高さ22㍍までのケースを上部から吸着することでキズつけずにパレットに積み付ける。「カゴ台車への荷積みや前後のコンベア設置など多様なカスタマイズが可能で、当社が最適提案する」と言う。エリアセンサーを搭載し高い安全性も満たす。

最大処理速度毎時2500ケースを誇る合流・仕分けシステム「VSS2500」を提案するのは伊東電機。ウリは速度よりもむしろリモートメンテナンスができることだという。東京で開かれた展示会ではこのシステムを同社のテックセンター北関東(栃木県小山市)と繋ぎ、コンベアの荷詰まりをリモートで解消し復旧させて見せた。「モーターローラーの稼働時間を積算して故障する前に交換するなどしてメンテフリーを目指す」とする。