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扉の先63/ロボットを自動倉庫やAGVに組合せ

制御しながらデータ収集・解析

マテハンや製造に用いられるロボットの柔軟性が増し、適切に管理できるようにもなってきた。ロボットSIerは現場のニーズに応えるパッケージ品を用意し、市場が広がる物流業界に訴えている。

オカムラのAutoStore(奥)とRight Pick(写真はいずれも1月21日まで東京で開かれた「ロボデックス」「スマート物流EXPO」などから)

通路なしに高密度に収納されたコンテナを、上部を走り回るロボットが拾い上げて作業者のもとへ運ぶロボットストレージシステム「AutoStore」。オカムラが販売するものでニトリグループなどで使われていることで知られる(国内で40件以上の販売実績)。これに数年前から加えたのはロボットピースピッキングシステム「Right Pick」。吸着・三指を組み合わせたグリッパーをもつのが特長で、視覚センサーを利用して箱物から柔軟で不定形な物などを正確にピッキングする。佐川グループのサードパーティーなどに導入したそうで、同社は「実証実験を進めているところ。作業スピードは人の方が速いが、24時間稼働する物流センターならメリットが出る」と言う。

製造工程でこんな悩みはないだろうか。複数の装置とロボットのデータを取得しても時間が一致しないので分析できない。そんな課題に応えるのは安川電機のコントローラ「YRM-X」。昨春リリースしたもので、装置やロボットを制御しながらデータを収集・解析する。プレス→二次加工→移載→検査といった製造工程において、セルのプロセスデータ(時間基準データ)とステータスデータ(ID基準データ)を一元収集する。つまり、「なぜNGが出たのかといった結果に至るプロセスの解析ができる。いつどんな指令を受けてどんな動きをしたのかのデータを時間軸に沿って吸い上げられる」ということだ。これまでは発生時間を問わない個々のデータの吸い上げにとどまっていた。

ほしい機能を選んで使う

ここ数年、市場が高水準で推移する物流業界向けに使い勝手のいいパッケージ品を用意するのはロボットSIerだ。昨年あたりから物流現場向けの提案を強化してきたYE DIGITALは、11月に『倉庫自動化システム「MMLogiStation」』を発売。倉庫内のすべてのオペレーションを管理・制御する倉庫実行システム(WES=Warehouse Execution System)で、「倉庫内で様々な機器を使う場合、カスタマイズにかかるお客様の負担が増している。装置や機器をつなぐのが得意な当社が必要な機能を選択して組み合わせられるようパッケージ化した。マテハンメーカー主導のシステムでは不要な機能もある」と言う。バーコードスキャン、AGV搬送、ピッキングといったテンプレート機能を用意し、ユーザーが必要なものを選ぶことでプログラム作成が不要になる。

三明や三明機工が提案するのはAGVと協働ロボット(可搬重量10キログラムの安川電機製HC-10DT)を組み合わせた移動型協働ロボット「AGBOT」。毎分30㍍の速さで走行し、ワイヤレス給電により24時間連続運転ができる(稼働中でも充電可能)。「一般的なAGVはカメラを付けて位置補正するが、AGBOTはレーザースキャン方式による無軌道式で繰り返し±0.5ミリの位置決め精度をもつ。当社製生産管理システムと接続すればデータ取り・指令出しができ、AGBOTの複数台制御もできる」のが利点だ。