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けんかっ早いけど人が好き Vol.24

道の駅とトイレ

日本が誇れるもののひとつはトイレである。ウォシュレットのついたトイレは世界の憧れであるのはもちろんだが、だれでも使えるトイレが駅や観光地など至るところにあることも素晴らしい。少し前までは汚かった公園の公衆トイレもずいぶんと使いやすくなってきた。クルマを運転していても高速道路にはサービスエリアがあるし一般道には道の駅がある。どこに行くにもトイレの心配をしないですむのは本当にありがたい。

道の駅南魚沼からの景色。最高!

道の駅は「国交省の唯一の成功例」と国交省の人が自虐的に「唯一」に力を込めて言うほど(本人の出世に影響しそうなので誰かは秘密)うまくいっている施策である。私がバイクで全国を走り回っていた40年近く前には道の駅はなかった。では、どこで用を足していたかというと……思い出せない。朝から夕方まで、いったい私はどうしていたんだろう? 昼も食べずに走りまくっていたことは、ぼんやりと覚えているので当時は飲まず食わずトイレなしで走っていたのではないかと思われる。

今ではとてもじゃないが無理だ。以前にも書いたが、私は水性動物でとにかく水を飲む。そして出す。飲んで出すのは健康の基本なのである。だから一般道を長時間移動するときはスマホの地図アプリで、まず道の駅を探してマークを付ける。道の駅までの距離と時間を念頭において行程を考えるのである。

先日、魚沼まで今年の米作りに参加してきた。魚沼あたりは豪雪地帯で、ゴールデンウィーク前はいつ雪が降るかわからない。私の苦手な雪道走行の恐怖があるのだが、それでもスタッドレスタイヤをつけて4月にむかったのは雪山が見たかったからだ。湯沢から十日町あたりを走ると標高が低くても雪山がこれでもかというくらいに見える。山好きにはたまらない景色なのである。もちろんトイレ休憩は、道の駅「南魚沼」だ。ここからの景色はうっとりするほどきれいで癒される。ついでに魚沼産こしひかりをつかったおにぎりは最高においしいのだ。

ドライブにいい季節になってきた。今年はマンボウも緊急事態宣言もない。感染対策は忘れずに全国の道の駅を目指してトイレ休憩に、じゃなかった、走りに行きたいものである。

(2022年5月15日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。内閣府戦略的イノベーションプログラム自動運転推進委員会構成員