日本物流新聞生産財と消費財の業界専門紙として半世紀を超す実績。
日本物流新聞社のWEBサイトでは、
ものづくりを支える工作機械、工具、ロボット、産業機器等の情報から、
ハウジングはじめ住まい・暮らしの様々なニュースをお届けしています。

検索

連載

連載

けんかっ早いけど人が好き Vol.28

すすんで踊る阿呆

人は限定という言葉に弱い。期間限定。数量限定。〇〇店限定......。出会えた自分はなんて幸運。このチャンスを逃したら二度と手に入らない。まるで自分が選ばれた人のような気分になると同時に焦燥感も焚きつけられ、つい買ってしまうのである。

北陸自動車道の黒崎PAで見つけた、のりピーナ。 

日本人は、特に限定商品という響きに弱いと言われている。私がイタリアに住んでいるころは、限定品にはほとんどお目にかからなかった。季節限定といえば、冬になると出てくる焼き栗の屋台くらいだろうか。いや、これは販売戦略による限定品ではないから、ちょっと違うな。

さて、生粋の日本人である私は当然、率先して限定品に首を突っ込むタイプである。限定品という戦略を駆使し、各企業がどんな趣向をこらして商品開発をしてくるのかを探るのが面白い……わけはなく、単に踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らなくっちゃ損だとばかりに踊りまくるタイプなのである。人生、一度きり。せっかくの限定品を手に入れずしてどうする!

そんな私が先日、見つけてしまったのは販売個数限定で、新潟県を中心とした高速道路SAPAだけで売られているというクルマ好きにはたまらない限定商品、浪花屋製菓株式会社の「ニイガタアゲアゲ のりピーナ」である。のりピーナは、新潟県民に愛される「サラピーナ」を元に、佐渡で作られたミネラル豊富な塩と海苔の風味で仕上げた揚げあられだ。一度、いただきもので食べたら海苔とピーナッツの香りがして、塩加減もほどよく控えめでとんでもなく美味しい。これはもう、新潟に行くしかない。ただ、噂によるとのりピーナは大人気で飛ぶように売れ、完売間近だという。新潟まで行ってなかったらどうしよう。いや、それもまた限定品ハンター(いつの間にハンター?)の醍醐味であろう。

どきどきしながら新潟に向かう。そして、黒崎PAに入るとそこには! 一番目立つ場所にのりピーナが積まれているではないか。間に合った。ここまで来た甲斐があった。喜びもひとしおである。ちなみに、のりピーナのわきにあった「新潟限定 南蛮えび味」なるあられも、ふわふわ食感でうなるほど美味しかった。新潟、侮りがたし。こういう美味しいものに出会えるから、限定品の追っかけはやめられないのである。

(2022年7月10日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。内閣府戦略的イノベーションプログラム自動運転推進委員会構成員