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オイルミスト吸着捕捉装置、売上4倍に

「省エネ、脱炭素社会実現に貢献する」

コンプレッサーのドレン排出器やドレンの油水分装置などのほか窒素ガス発生装置、除菌フィルターなどを製品化してきたフクハラ。特許を多く取得する開発型企業だ。昨年5月に創立50周年を迎え、提案の幅を増している。

たかした・てつや 冬場はスキー、雪がない時期は丹沢の山(神奈川県北西部)を登るアウトドア派。「景色を眺めるのが好きなのでスキーは昔から、山はここ2、3年です。今年の夏は八ヶ岳を目指します」

フクハラ 営業部 課長 高下 哲也 氏

――昨今の市場ニーズの変化をどう感じていますか。

「私が入社した1990年代はフクハラというと創業の商品であるコンプレッサーのドレントラップを思い浮かべるお客様が多かったと思います。その後ドレンの油水分離装置『ドレンデストロイヤー』が環境ISO14001の認証取得が増加した時期に爆発的に広がりました。フクハラ=環境保全機器メーカーと認識していただいたと思います。その頃まではコンプレッサーのドレンに関連した下流にあたる製品を得意としていましたが、近年はエアー供給側の圧縮空気清浄化機器のラインナップが充実し、お客様の当社に対する捉え方も変わってきたと思います」

――オイルミスト吸着捕捉装置「オイル・バスター」はその流れにある製品ですね。

「『オイル・バスター』は給油式コンプレッサーのエアーを安価に効率よくオイルフリー化できます。『スーパーサイクロンセパレーター』は竜巻遠心分離方式のドレン除去製品ですが他の浄化機器と比較して圧損(圧力損失)が少なく省エネにつながる製品です。これらはお客様の生産コストに跳ね返りますし、カーボンニュートラル、SDGSへのニーズの変化もあって、当社の2021年度の売上高は前年度比約15%増と過去最高となる見込みです」

――オイル・バスターは発売されて久しいと思いますが。

「発売から10年ほどですが、年々改良していることとニーズの変化から好調です。2月からは本体上部にオイルミスト検知器を付けました。以前のモデルでは差圧を見てフィルター交換の時期を知る必要がありましたが、検知器でオイルミスト濃度を実際に測定することで適切な交換時期がわかります。オイル・バスターによって給油式コンプレッサーからオイルフリーコンプレッサー並みのきれいな空気が得られます。以前からそのように謳っていましたが、ドイツの第三者認証機関であるテュフ・ラインランドから出口油分濃度「クラス0」のシステム認証を取得しました。オイルフリーコンプレッサーは給油式に比べると高価な上、吐出量は一般に12割劣ります。給油式コンプレッサーとオイル・バスターのセットで作るオイルフリーエアーは効率がよく、安価で省エネでCO2削減につながります。そんなメリットから21年度の販売数は前年度の4倍の見込みです」

■ユニークな発想がウリ

――なぜそんなに急伸したのでしょう。

「圧力損失が少ないうえ性能持続期間が長いことが実績とともに証明され始めたのだと思います。それとお客様が省エネ、カーボンニュートラルに意識を向けるようになったことがあります。あと食品業界でのHACCP対応が追い風になりました。まだまだこれからです」

――貴社は環境問題にどう取り組まれていますか。

ISO14001の認証取得や製造・営業活動でのエネルギー消費の見直しなどの取り組みは他の会社さんと同様ですが、当社としては先ほど申し上げたCO2削減につながるオイルバスターの効果を販売店の皆様やユーザー様にご理解いただき、より多くご使用いただくことが環境改善につながると考えています」

――今後注力されることは。

「フクハラがこれまで歩んできたコンプレッサー周辺で、省エネや環境改善につながる商品を開発して世の中に広めることです。社長はじめ技術陣は近未来の脱炭素社会を目指し、水素社会を実現する装置で社会貢献ができないか研究、提案しているところです。ユニークな発想で独自性のある商品を世の中に提案する所存ですので皆様から応援を送っていただきたいと思います」

4面フクハラ高下哲也課長インタビューP2.jpg

販売好調の「オイル・バスター」

2022325日号掲載)