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キャディ DRAWER事業部 事業部長 白井 陽祐 氏

図面データ活用クラウドで類似図面検索

製造業の受発注サービス「CADDi」により業界での存在感を強めているスタートアップ企業、キャディ。6月末には図面データ活用クラウドサービス「CADDi DRAWER(キャディドロワー)」の本格提供を開始した。CADDiと並ぶ新たな柱として打ち出したCADDi DRAWERについて、開発責任者の白井氏に話を聞いた。

過去図面活用すれば企業資産に

――図面検索システム「CADDi DRAWER」の概要を教えてください。

CADDi DRAWERは、過去の2D図面データを簡単・便利に検索できる図面データ活用クラウドサービスです。図面に記載されている情報を解析、自動抽出し、そのデータベースから類似の図面データを検索できます。これにより過去に設計した図面を探す時間を短縮するとともに、以前の発注時との価格のブレなどを減らし、調達コストの低減を可能にします」

――活用の流れについて、さらに詳しく。

「導入時にまず、企業内に溜まっている図面の画像データをクラウド上へ一括アップロードします。材質や記号といった文字情報だけでなく、形状も独自のアルゴリズムで自動解析・抽出して登録します。形状の類似性も判定できるようにしていて、形状類似もしくは任意のキーワードで検索できる仕様です」

――独自のアルゴリズムでの解析、というのは具体的には。

「文字の解析は一般的な技術を応用したものですが、図面の形状類似に関する画像解析については、通常の画像検索とは異なったものです。単純に似たような画像を検索するとなると、平面的な図形として抜き出され、無関係の図面もヒットしてしまう。CADDi DRAWERでは、AIが立体的な完成形を想定し、類似図面を探し出すことが可能です。本ソフトの大きな特長はこれですね」

――開発の経緯は。

「祖業の『CADDi』で産業機械等の納品に向けて顧客と加工会社との受発注業務を進める中で、大量の図面の取扱いが現場の深刻な負荷になる状況が多く出ました。エンジニアと一緒に社内向けソフトウェアを開発して解決したのですが、この課題は我々だけでなくメーカーや加工会社にもあるのではないかと考えたことが始まりです。多くの企業は図面データを管理・保存しても活用できていないのが実情です。データは貯めるだけでは価値を生む資産にならないのです。CADDi DRAWERは図面データ活用の先駆けとして誕生しました。今後、引き合いはさらに強くなると期待しています」

――開始から約2カ月半経ちましたが、現状のユーザー層は。

「規模は大企業から中小企業まで幅広いです。開始前の想定では、産業装置メーカーなど図面を多く保持する必要がある多品種少量産の業種に向いたシステムだと考えていました。もちろん実際そういう企業が多いものの、自動車業界の治具といった細かい図面を多く持っている企業にも活用されそうだという新たなユーザー層の発見もありましたね」

――今後の展望については。

CADDi DRAWERに関する部署について組織規模を100名以上にすることを目指しています。その他は状況を読みながら柔軟に決めていきたいですね。追加予定の機能ではサイズや寸法でも検索可能にするなど、検索性を高めていく方針です」

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(2022年9月10日号掲載)