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「グリーン」と「テーラード」を柱に

M&Aでシステム提案力強化

溶接機大手のダイヘンが売上高2000億円に向けて、「脱炭素社会の実現」と「現場課題の解決」に取り組む。高付加価値の新製品開発を進め、ロボットに代表されるシステム提案力を強化するべく、システムインテグレータのM&Aも視野に入れる。溶接・接合、FAロボットの営業を統括する森本慶樹専務に、現状と展望を聞いた。

ダイヘン 取締役専務執行役員 森本 慶樹 氏

2021年上期(4~9月)は増収増益でした。

「通期でも溶接機、FAロボットで2桁成長ができるものと期待している。ただ需要最大国である中国は、鋼材高騰と電力不足で設備投資意欲が減少し、販売に影響が出ている。東南アジアはタイやベトナムのロックダウンで一時的に支障こそあったものの、自動車関連の大型案件で需要が確実に見えてきた。今後、欧州を中心としたEVシフトに向けた自動化・省人化需要が受注を後押しするだろう」

世界的な半導体不足が生産・販売活動に影響を与えています。

「どうにか入手して生産を継続できた。しかし綱渡りの状況が続いていることに変わりはない。そのほかの材料も高騰しており、安定供給維持のためには価格改定は避けられず、溶接機は今年4月、関連部品は1月から値上げする」

2023年度を最終年度とした中期経営計画では、売上高2000億円以上を目指しています。

「グリーンソリューションとテーラードソリューションが柱になる。前者は再生可能エネルギーやEVなどに関連する技術の開発、後者はモノづくりに携わる人に寄り添う最適な解決手段の提供だ。サブマージ溶接や高能率アーク溶接システム『D―Arc』は風力発電などの大型構造物の生産に役立つし、精密溶接や異種材料の接合プロセスはEVの普及で需要が高まるだろう。当然のことながら、溶接機の省エネにも努める」

-テーラードソリューションを具体的に言うと。

「ロボット製品で挙げるなら、ピッキング、レーザ切断、バリ取り、工程間搬送などの用途に応じた自動化パッケージの拡充だ。アーク以外のラインナップを増やすことで、システムインテグレータの負担軽減も図る。さらに『システム提案力の強化』に向け、国内外のシステムインテグレータのM&Aも視野に入れている」

-国際ロボット展、国際ウエルディングショーに出展する予定です。

「国際ロボット展では『テーラードソリューション』をコンセプトにした。ハンドリングも含めて工場全体の自動化をサポートする総合ロボットメーカーとしてPRする。来場いただけない海外の顧客に向けて、オンライン配信も検討している。国際ウエルディングショーは『脱炭素社会に貢献する溶接・接合技術』をテーマの一つに掲げて準備を進めている」

-今後の製品開発について、どのように考えていますか。

「ティーチング支援の高機能化を目指す。直感的に教示できる『JoyPEN』をすでに製品化しているが、今回のロボット展では画像認識による自動教示を披露する予定。ティーチングプログラムを自動作成することで、不慣れな人でも教示できるようになる」

「当社は『技術開発型の企業』をポリシーに掲げている。2024年には、本社のある大阪・十三に開発センターを新設し、溶接プロセス、プラズマシステム(半導体製造装置)、電力、ロボットなど、『ならでは製品』の基礎となる研究開発に取り組む」

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アーク溶接以外の用途提案にも注力している

(2022年1月25日号掲載)