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顧客との直接対話を最重要視

新日本工機 代表取締役社長 兼 COO 中西 章 氏
門形機に代表される大型加工機を強みとする新日本工機。自動車、航空機、重工業、半導体など、各業界で求められるカスタマイズに対応することで受注を獲得してきている。中西社長はそれぞれの業界における顧客のビジネス展開に貢献するため、顧客との直接対話を最重要視する。

新日本工機 代表取締役社長 兼 COO 中西 章 氏

――設備投資の復調が鮮明になりました。

「小型機におよばないものの、大型加工機も回復傾向にあります。当社の売上構成は、自動車3、航空機3、一般機械4というのが基本ですが、航空機業界が低迷している一方、半導体業界が好調で売上構成は多少変化してきています。当社は世界中の様々な業界の顧客要望に応える形で大型加工機を提案しており、顧客の変化に対応することで確実に受注を積み上げることができます」

――提案活動のなかで重視していることは。

「大型工作機械は、30年以上にわたって使っていただく設備です。工作機械はお客様にとってツールでしかありませんので、お客様の事業展開や生産工程の変化を私たちが理解し、既存の機械での対応方法、新たな機械やソリューションを提案していくことが大型工作機械には求められていると考えています。機械が仕様書通りの性能を発揮していたとしても、お客様が求めるモノづくりを実現できていなければその機械の存在価値はありません」

――特注仕様が大半です。

「現場で実現したいモノづくりを協議しながら仕様を詰めていきますので、受注前からかなりの時間をかけたコミュニケーションが必要になるため、どうしても直接取引の比重が高くなってしまいます。同じ業界のお客様であったとしても、現場で目指しているモノづくりのプロセスはやはり違いますので、仕様を一つひとつ確認しながらカスタマイズしていくことになります」

「造船向け超大型門形加工機、アルミインゴッド用加工機、航空機向け大型チタン加工機など、それぞれ世界で数社しか作れない機械を当社は手がけてきました。実はこれだけ多種多様な大型加工機をすべてカバーしている工作機械メーカーは世界で当社だけです。過去からの実績と技術技能の蓄積があるからこそ特注仕様に対応できる競争力を持つことができています」

■次の100年も続く会社に

――YouTubeやメールマガジンなどの情報発信にも力を入れています。

「営業がお客様と対話するきっかけに使っていることが多いですね。当社の場合は、世界中の営業担当が様々なお客様と対話や技術交流を積み重ねながら新たな提案につなげています。本当の意味でのマーケティング活動が実践できていると思っています。私自身も毎日、営業の日報をすべて読んでリアルなニーズを把握するようにしています」

――海外需要が旺盛です。

「やはり中国が伸びています。大型工作機械に対する自動化ニーズは日本よりも高く、投資額が大きくなっています。また、台湾製機械のユーザー層が新たに日本キタムラ機械製の機械を購入するケースもさらに増えている印象です。これはインドでも同じことが言えます。インドでは産業機械業界における需要も増えてきています」

――コロナ禍の影響は。

「営業面では技術者の海外派遣が難しくなりましたが、Web会議によりタイムリーに協議ができるというメリットも出ています。大型の自動化ラインの商談もWebだけで完結できた例もあります。一方で、大型加工機の据付作業は日本から作業者を派遣する必要があり、隔離やビザ取得で苦労はしていますが、お客様と調整をしながら進めることができています」

――昨年7月、IoT&保守パッケージを標準化しました。

「『Si―Support』は、予防・予兆保全、機械自己診断、リモートサービスの機能を備えています。RBNeoVなど、門形機の標準シリーズ機を対象に搭載しました。機械を壊さない、壊れてもすぐに直すための機能なので標準搭載にしました。定期的に訪問巡回するサービスと組み合わせることで、予防保全の効果がさらに高まります」

――今後注力していきたいことは。

「人材の採用と育成です。お客様と30年間以上にわたってモノづくりの改善を続けるという当社の強みの根幹は、成功や失敗という経験に裏打ちされた技術と技能を持った人材です。カスタマイズが当たり前になっている当社にとって、図面だけでは分からない人の経験こそが価値だからです。私は『実力主義の終身雇用』であると言っています。長期視点で人材を育成し、評価は実力主義、適材適所で一人ひとりが活躍できる場所をつくる。次の100年も続く会社にするために、この強みをさらに大きくしていきたいと考えています」

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2022310日号掲載)