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スイデン 取締役 営業本部本部長 川合 雄一 氏

一味ちがう、75年目のスイデン

工場扇のパイオニア、スイデン。夏場、様々な場所でオレンジ色の送風機やスポットエアコンを目にするはずだ。創立75年目の同社だが、昨夏は野外活動に便利な可搬式エアコンをモスグリーンで展開して好評を博すなど、夏物製品の活躍の場を広げている。今年4月に就任した取締役 営業本部本部長の川合雄一氏に、営業方針や就任にあたっての抱負を聞いた。

――最近の夏物商戦における市場環境を教えてください。

「この2年はコロナ禍や冷夏・長雨の影響で、夏物商品はやや芳しくない状況でした。最近は海外メーカーの参入や冷風扇のような従来と違った特徴の商材も増えており、我々もうかうかしていられないという心境ですね。しかしそれは市場に伸び代があるということ。夏物は土日が暑いと次の月曜に注文が殺到するほど天候に左右されますが、今夏は2年ぶりの猛暑予測。我々にとって良い夏となると予想しています」

――近年における売れ筋商品や今夏の注力商品は。

「直近の売れ筋は昨年発売の『ハンディクーラー』。約8㌔と持ち運びやすく、アウトドアやDIYで使いやすいサイズです。モスグリーンという珍しい色展開が奏功し、後発ながら一貫して売れています。当社では初めてユーチューバーとコラボし反響を得た商品でもあります。また、今夏に発売する業界初の防雨型スポットエアコンも期待の製品です。ややニッチですが、競合が手を出していない部分。他社と同じことをやっても面白くないですから、そうした意味で少しチャレンジした商品ですね。テーマパークやイベント会場、万博などでの使用も視野に入れており、需要は未知数ですが発売が楽しみです」

――拡販にあたり注力したい分野は。

「メインの工場向けは当然ながら、アウトドアやイベントなどのレジャー関係、医療・介護向けも視野に入れたいところです。高齢化や温暖化で、そうした分野の熱中症対策商材は需要があると見込んでいます。ハンディークーラーや防雨型スポットエアコンは、今までとは少し違う分野に切り込める製品。そうした商材をうまく活用したいですね」

■足場を固めたうえでの挑戦を

――営業本部長への就任にあたり、抱負や目標などは。

「まずはしっかりやるべきことをやる。それから『当たり前』に疑問を持ちながらトライ&エラーを続ける。これに尽きると思います。私も含め皆他社のことはよく調べますが、それと同じくらい自社を改めて知ることも重要です。隣の芝はやけに青く見えますが、一方で自社を知ることで見える戦略もある。例えば今はSFA(営業支援システム)も進化し、社内連携もしやすくなっています。そこで『当たり前に売れるから良し』とするのではなく、売上を上げるための工夫を社内で集めることが改めて大切になります。数値目標も大切ですが、そこに辿り着くための小目標を重視することで最終的な目標達成につながると考えています」

――改めて足場を固められると。

「現時点ではスイデンのオレンジは業界に浸透しており、『物が良い』と評価いただけています。しかし510年後に同じ立ち位置でいられるかは別。さらなる差別化を図らなければならないと考えています。『やるべきことをやる』というのはそういう意味で、75周年を迎え若手も増えた今こそ足腰の鍛え直しが必要。その上で様々な事にチャレンジする必要があります」

――基礎を固めた上で、挑戦を重視されるのですね。

「そうですね。色々偉そうなことを言いましたが、自分の中で大切にしたいのは『やりたいか、やりたくないか』を重視することです。要は面白いか面白くないかで、面白いことはどんどんやるべきだと思います。これは自らへの戒めでもありますが、基礎である『やるべきこと』に終始すれば結局小さく収まってしまう。そこから脱皮するには『べき論』に縛られない発想力が必要です。私の使命は会社の認知度向上だと思っていますが、やりたいか・やりたくないかを大切にして発信を続けることで、お客様にも社内にもスイデンの魅力が伝えられると考えています」

2022425日号掲載)