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諏訪圏工業メッセ、過去最多425社が技術アピール

 長野県内最大の工業展示会「諏訪圏工業メッセ」が諏訪湖イベントホールにて1017日から19日にかけて開催され、過去最多となる425社・団体が出展した。台風19号によりJR中央本線、中央道、上信越道等が不通になるなど影響が懸念されたが、3日間の来場者は27831人(前年比4%減)と微減に収まった。「予定通り開催できてホッとしている。首都圏からは名古屋経由で迂回して来ていただいた出展者、来場者も多数いたと聞く」(諏訪圏工業メッセ実行委員会事務局)。
 会場入口すぐに設けられた「加工技術ゾーン」には、超精密加工のメッカ・諏訪地域ならではの技術を誇る各社が軒を連ねた。なかでも大手工作機械メーカーの海外通が舌を巻いたのが、スギムラ精工(岡谷市)のプレス成型によるスプロケットのネットシェイプ加工。高精度のトランスファプレスでキー溝部のブローチ加工を無くし、後加工を削減。歩留まり率の向上とコスト低減を実現した。「従来必要だったボンデ処理も不要で、スラッジや重金属を含む廃液を軽減し、環境負荷も低減できる」(同社)。
 自社開発のCAD/CAMやプレス機を用いた精密加工に定評のある太陽工業(諏訪市)は、プレス増肉加工による材料コスト削減を提案。従来、圧入や溶接等の接合加工が必要だった工程を冷間鍛造の要素を含めたプレス加工で作成。「生産性を4割上げ、コストを15%低減した」という。同社は茅野市に温度変化の少ない地下に生産設備を保有しており、厳密に温度管理がなされた工場内で高精度の加工を実現している。
 「電気・機械・工学ゾーン」では、ロボットを活用した自動化提案が相次いだ。野村ユニソングループの販社、ナンシン機工(茅野市)のブースではバリ取りの自動化ソリューションを提案。不二越製のロボットのハンド部にグラインダーを持たせ、大型ワークのバリ取り研磨を行うデモを見せた。同社の竹澤薫社長は「工作機械にプラスアルファ、という自動化需要が現在のトレンド。それだけ県下の人手不足が深刻化している」と語った。 「企画・展示ゾーン」では航空・宇宙関連産業や医療・ヘルスケア産業への取り組みが展示されたほか、技能五輪で入賞を果たしたセイコーエプソン社員による抜き型作成や精密機器の組み立てなどの実演が行われ、会場の注目を集めた。

20191110日号掲載)