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京セラ、世界初の粘土型リチウム電池

住宅用蓄電システムに採用

 京セラ(谷本秀夫社長)は102日、都内において世界初となるクレイ(粘土)型リチウムイオン蓄電池開発の成功と、同電池を利用した製品第一号となる住宅用蓄電システム「Enerezza(エネレッツァ)」を発表した。
 従来のリチウムイオン電池は、集電体とセパレータの間に電極材料を配置し、バインダで接着し、電解液で満たす構造となっている。今回、同社が開発したクレイ型リチウムイオン電池は、電解液を練り込んだ粘土状の電極材料を採用し、製造プロセスを大幅に簡素化した。
 また、集電箔やセパレータ、バインダといった部材を減らし、約30%部材コストの削減にも成功。過充電や圧壊試験でも発火することなく、「高安全性、長寿命、低コストでの量産が可能になった」(同社エネルギーシステム研究開発部・竹下良博氏)という。
 同電池を活用した住宅向け蓄電システム「エネレッツァ」は、「FIT満了を前に売電型から自家消費型への市場転換を見据えた戦略商品」(同社ソーラーエネルギー事業本部・小谷野俊秀副本部長)。様々なユーザーニーズに合わせた定格容量5㌔ワット、10㌔ワット、15㌔ワットの3タイプを用意。同社は「従来の蓄電池は10年保証が大半だったが、クレイ型リチウムイオン電池を採用したことで15年の寿命保証が可能になった」と優位性をアピールした。
 20201月より少量限定販売を開始。同年秋の本格量産に向け、滋賀県・野洲工場に「100億円規模の設備投資を行い、年間2万台の量産を目指していく」とし、さらに将来的な展望として「いくつかの技術的ブレイクスルーが達成できれば、EVなど車載用電池にも活用できるようになる」(小谷野俊秀副本部長)という。

20191025日号掲載)