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大阪大東市が協定、キッチンカーを災害支援に

大東市役所で行われた協定調印式にて。左が東坂浩一 大東市市長、右がエースケータリング宮本聡社長

他地域への波及効果にも期待

 機動力に長けたキッチンカーを災害時の支援活動に。東日本大震災から10年を迎えた今年、そんな取り組みが大阪府大東市からはじまった。タッグを組んだのは関西最大規模の13台のキッチンカーを保有するエースケータリング(大東市・宮本聡社長)と大東市。34日に開かれた調印式では、大東市における災害発生時に同社保有のキッチンカーで炊き出しを行うという災害時協定が結ばれた。
 背景にあるのは、東日本大震災などでキッチンカーによる炊き出しを行ってきた宮本社長自身の経験だ。震災発生時、味噌2㌧を積んで東北に向かった宮本社長が目の当たりにしたのは、インフラが遮断されたために大量の食材が調理されることなく腐っていく光景。被災者の多くは菓子パンを食べるしかなく、精神・肉体の両面で疲弊していたという。宮本社長は被災地を巡り温かい味噌汁を提供したというが、そういった経験が大東市との協定に至る原動力になったようだ。
 「被災地では、味噌1つでこんなにも喜んでもらえるのかと実感しました。スーパーの食材の大半は加熱しなければ食べられませんが、捨てるよりも引き取ってキッチンカーで調理したほうが良い。この協定をモデルケースとして各地の自治体に発信することで、他の地域でも同様の活動が広まればと期待しています」(宮本社長)。目指すは有事の際に近隣の地域から被災地へキッチンカーが駆けつけるという、「横のつながり」の構築だ。災害時にも温かい食事がとれる少し先の未来に期待がかかる。

2021325日号掲載)