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常態・多様化する災害どう備える?

「ローリングストック」実践7割に

7月からゲリラ豪雨による洪水が頻発している

今年は年初から大雪→地震→猛暑→豪雨と日本列島の災害発生は休まることを知らない。また、インフラの老朽化による破損や大規模停電など、いわゆる人災による被害も多数発生している。本特集ではそうした常態化・多様化している日本列島の災害に対応する様々な製品について紹介する。


16日、東京には4年ぶりの大雪警報が出され、3月には宮城・福島で震度6強を記録する地震が発生し、6月には北関東地域で最大2㌢ほどのひょうが降った。過去最短の梅雨を記録した後は、6月末から8月頭にかけて東京では過去最多タイとなる十数回もの猛暑日を計測し、総務省によると昨年(5~9月)は熱中症による救急搬送が全国で約48千人であったのに対して、今年425~731日までの搬送者数の速報値は約46千人と既に昨年に迫る人数が搬送されている。そうかと思えば、断続的に各所でゲリラ豪雨が発生し、83日からは各地で河川の氾濫によって甚大な被害を出している。ここにきてコロナも終息することなく、過去最多の感染者を更新するなど、コロナを災害ととらえるならば複合災害の様相を呈しているといっても過言ではないだろう。

試算.jpg人災ともいえる被害も増えつつある。記憶に新しい今年5月に愛知県で発生した取水施設の漏水事故では、工場や農業用水がストップした。昨年10月には和歌山市で水管橋が崩落し、約6万世帯が断水被害を受けた。他にも放火や人的ミスによって災害級と言ってもよいほどの被害を出す事件・事故も見受けられるようになるなど、国内の災害の常態化・多様化が年々ひどくなってきている。

■各所で進む災害対策

災害の発生が常態化・多様化する中で、災害対策や防災に関する情報の共有、防災グッズの多様化も進んでいる。東京都が5月に公表した首都直下地震などによる被害想定によると、過去10年の耐震化や不燃化などの取り組みの効果が出てきているようだ。建物全壊棟数が12万棟から8万棟に、燃失棟数も20万棟から12万棟に減少すると想定する。国土交通省も2020年から「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」という施策の検討を進めており、今年3月に発生した福島沖の地震の際にも既に活用されている。

災害が常態化したことやコロナ禍で自宅にいる時間が増えたことで、家庭内でも防災意識が高まっている。セコムが218月に発表した防災に関する意識調査(217月に全国男女500人を対象に調査)によれば、災害の増加や被害の拡大を懸念する人は2012年の調査開始から初めて9割を超えた。防災対策をしている人も徐々に増え、5割を超えている。その中でも一定の食料・生活用品を日常生活の中で順次消費しながら備蓄する「ローリングストック法」に取り組んでいる人が7割近くと、認知が進んでいることがわかる。

電源.jpgコロナ禍で利用が増えたアウトドア製品と防災用品の併用なども期待される。キャンプ・アウトドア情報を発信するサイトを運営するTAKIBIが行ったキャンプギアと防災の調査(全国の男女500人を対象に2月にアンケート実施)によれば、キャンプギアは防災にも役立つと思うかという問いに対して、役立つとの回答が65%となった。災害時に重要だと考えられる電源の確保もキャンプギアでまかなえそうだ。ポータブル電源を購入しているかという問いには、購入している人が20%、購入したいと思っている人が30%と過半数がポータブル電源のキャンプ・防災での活用を期待していることが分かった。防災意識の高まりとともに、災害時の連絡・情報取得手段としても重要性が増すスマートフォンを常に活用できるようにしておくことにも関心が高まっている。

(2022年8月10日号掲載)