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水回りの最新トレンド

快適性、家事楽のほか

衛生的、清掃性もキーワードに

◇キッチン

調理機会の増加で時短や快適性がキーワードに

ノーリツが5月に行った調査によると、コロナ禍により家族と一緒に自宅で過ごす「おうち時間」が増加したことで、主婦が負担と感じることは育児や買い物を抜いて「料理」がトップになったことがわかった。「外出自粛期間中に負担が増えたと感じる家事トップ3は、料理(80.5%)、育児(49.6%)、買い物(38.2%)だった。そして8割以上の主婦が料理の負担増加を感じ、大きなストレスとなっているようだ」(同社)。

調理の手間を軽減するとして同社が提案するのはガスビルトインコンロ「ピアット」だ。同製品のマルチグリルは、食材を切って、専用容器に入れるだけ自動調理できるのが特長。「火加減を自動調整し、素材の旨味を引き出して調理する。失敗がないため、調理に不慣れなお父さんやお子さまにもおすすめだ」。

パナソニックAWエンジニアリングは、「在宅時間の増加により家族と過ごす時間も長くなった。そこで子どもの様子を見ながら調理や洗いものができる対面キッチンの提案を強化している」という。同社の「NEW MX」は、集合住宅やマンション、アパートなどの限られたスペースにも設置可能なコンパクトなシステムキッチン。壁付型、造作壁対面のほか、今年よりコンパクト対面もラインナップ。「コンパクト対面キッチンは造作壁を全面につくる必要がなく、バックパネルで簡単に対面キッチンを実現できる。シンク側に造作壁がない分、リビングダイニングを広く使えるのも特長」(同社)。

パナソニックAWエンジニアリングのシステムキッチン「NEW MX」
パナソニックAWエンジニアリングのシステムキッチン「NEW MX」

衛生、清掃性を求める声も増加

クリナップはコロナ禍により、衛生・清掃性への関心が高まっているという。「例えば、タッチレス水栓や除菌ができる食洗機、アルコールや薬品に強い『ステンレスキャビネット』などは、今まで以上に興味をもっていただいている」(同社)。

そこで同社では、そこで同社では、ワークトップやシンクのほか、キッチンの骨組みであるキャビネットにもステンレスを採用しているシステムキッチン「ステディア」と「セントロ」の提案を強化している。「ステンレスは強度のほか、水や熱に強く清掃性に優れる。キッチンをいつまでも丈夫で清潔に保ちたいという思いから、キャビネットにもステンレスを採用しているキッチンを選ばれる方が増えている」。

トクラスも、「在宅時間が長くなったことで食事を作る回数が増え、調理作業が負担となっている。また、衛生意識がこれまで以上に高まっており、その意識は住宅内にも波及している」と話す。

同社が提案するのは昨年発売した高質感の意匠性とお手入れや耐久性といった品質性能を両立させたシステムキッチンのカウンター「テノール」だ。表面硬度が高いので傷つきにくく、熱にも強いという。表面に汚れが染み込まず、シンクとの間に継ぎ目や段差もないので、清掃性にも優れる。

鋳物の黒を思わせる「アイアンブラック」のほか、「フレークシルバー」と「バーストブラウン」の3色展開。システムキッチン「ベリー」などに搭載している。

トクラスのステムキッチンのカウンター「テノール」
トクラスのステムキッチンのカウンター「テノール」

LIXILはINAXブランドとして展開しているタッチレス水栓の売上が前年比43%増加したという。「今、世間で非接触がキーワードになっているが、コロナ禍によるおうち時間の増加により、調理頻度が増えたことで、使い勝手やエコの観点からキッチンでのタッチレス水栓の需要が増えている」(同社)。

タッチレス水栓は、医療現場のニーズから生まれたもの。感染症対策として、従来、足踏み式の水栓などが使用されていたが、より簡易な操作で水を出すことができる機能として1980年代、タッチレス水栓が誕生。その後、パブリックトイレや住宅向けにも普及していったという。

同社のタッチレス水栓「ナビッシュ」の特長は、ハンドシャワーとタッチレスセンサーの両立を実現する「グースネック形状」だ。「キッチンではタッチレス機能に加え、ホース引き出し機能が必須だったが技術的にもコスト的にも難しく、新しい形状を考える必要があった。そこでグーネック形状を採用した」。

2015年に発売した「ナビッシュハンズフリー水栓」は、対象物の動きを逃さず感知する「動体センシング」と、吐水口下にある物の距離を正確に測定する「測距センシング」により、従来のセンサーが苦手としていた透明なコップや黒色のフライパンなどの対象物も感知しやすくなり、操作性が大幅に向上したという。

昨年発売した「乾電池式キッチンナビッシュ」は、電気工事なしで設置可能だ。「リフォームでも採用いただきやすい」。

LIXILのタッチレス水栓「ナビッシュ」
LIXILのタッチレス水栓「ナビッシュ」

◇バス・トイレ

リラックス効果や免疫力を高めると注目集まる

リンナイの「マイクロバブルバスユニット」
リンナイの「マイクロバブルバスユニット」

リンナイは「リラックス効果と免疫力が高まるといわれている入浴に関心が高まっている」と話す。

同社が今年4月に発売した「マイクロバブルバスユニット」は、「素晴らしい入浴体験」と「驚きのテクノロジー」をコンセプトに開発したという。同製品は、浴槽と給湯器の間にマイクロバブルバスユニットと専用の循環金具(浴槽内にあるお湯を噴出させる装置)を装着することで、風呂にマイクロバブルを発生させる。

同社はナノサイズのバブル数を増やす技術を追求し、従来製品に比べマイクロバブル数は約2倍、ナノサイズのバブル数は約2.7倍に増加させた。「今まで以上にやさしい気泡に包まれリラックスした入浴ができる。泡によってお湯の熱がからだに穏やかに伝わり、湯上がり後も身体がぽかぽかした感じが持続する。またマイクロバブルは皮膚表面に付着したチリやホコリなどの汚れをやさしく落とす効果もある。洗浄能力が高いとされ、半導体の洗浄にも採用されている」(同社)。

「家にいる時間が多くなり、家族の健康や安全に関心が移っている」と話すパーパスが提案を強化しているのは、ふろ給湯器・給湯暖房用熱源機用「AXiSスマート」だ。体脂肪率測定、半身浴モードなどの健康管理機能のほか、人感、ドア、水位の3つのセンサーにより、入浴者の状況を検知する。
「入浴サインを台所リモコンに表示できる。異常を検知した場合は、台所リモコンからチャイムと音声でお知らせ。ヒートショックなどの入浴事故の早期発見を促す」(同社)

従来の樹脂製スイッチをなくし、全面フラット形状とステルス印刷を採用しているのも特徴だ。「ボタンのないフラット形状のため空間に溶け込むデザインと手入れの手間も軽減できる」。

無線LAN(Wi-Fi)に対応しているため、スマートスピーカーや無料のスマートフォンアプリ「パーパスコネクト」を使用すれば、遠隔操作でガス給湯器の操作が可能。アプリでは、給湯器の使用エネルギーの見える化、離れて暮らす家族の見まもり機能なども使用できる。

パーパスの給湯器・給湯暖房用熱源機用「AXiSスマート」
パーパスの給湯器・給湯暖房用熱源機用「AXiSスマート」

パナソニックは8月に「トイレに関するアンケート調査」(調査対象=20〜60代の男女310人)を実施。「新型コロナウイルス感染拡大以降、家庭内感染で最も気になる場所はトイレという結果になった」(同社)という(=グラフ)。その理由は順に「ウイルスが多そうだから」(67.1%)、「よく使う場所だから」(58.4%)、「感染リスクが高そうだから」(59.6%)だった。 

感染防止のために自宅のトイレで実践していることについて尋ねると1位は「常に換気をしたり換気扇を回したりする」(91.6%)、2位「トイレに行った後、手洗いを30秒以上する」(84.7%)、3位「便器のフタを閉めてから流す」(81.8%)。「そのほか、男性は小便のスタイルが新型コロナ感染拡大以降、着座になったという人が11%いた。元々約6割の方が着座にて小便をしていたが、小便でトイレの床や壁を汚さないようにという意識が高まっているようだ」(同社)。

同社は「アラウーノV」は、昨年7−9月は手洗い付きが60%以上を占めていたが、今年の7−9月は手洗いなしが50%と手洗いなしタイプの販売構成比が10%伸びたという。「トイレ背面部では石鹸での手洗いを十分にできないことから、手洗いを別途設置したいという方が増えていると考えられる。今後はさらに衛生面に配慮した製品が求められるだろう。例えば、節水でも汚れを残さずに洗浄できることや、極力便器や便ふたなどに触れずに使用できるなどが考えられる」

そこで同社は、自動でフタを閉じてから洗浄する「クローズ洗浄モード」を搭載した全自動おそうじトイレ「アラウーノ」シリーズを12月より順次発売する。
アラウーノは水を流すたびに便器内を泡で洗浄するため、フタを閉じてから洗浄した場合でも、付着汚れなどが残る心配が少ないという。併せて、トイレを洗浄すると自動で出水する別置きの手洗い「連動水栓」を導入すれば、便器やボタンなどに手を触れずに、用を足してから手洗いまでが可能になる。

【グラフ】
【グラフ】

(2020年11月25日号掲載)