日本物流新聞生産財と消費財の業界専門紙として創刊来、
半世紀を超す実績を持つ日本物流新聞のWEBサイトです。
サイト独自の情報を増やしています。

検索

特集

コロナ禍のソリューション 〜事業所・店舗〜

Minn蒲田の外観

新型コロナウイルス感染症の収束時期が未だ見通せず、事業所や店舗などでは従業員、利用者が安心・安全に過ごせるよう、換気や除菌などの感染拡大防止策が求められている。そこで今回はメーカー各社の提案や、実証実験や導入事例などを紹介する。


SFA Japan、店舗・事業所の手洗い場増設

床工事不要で簡単・短工期


「新型コロナウイルスの感染拡大により、手洗い場を増設したいという要望が増えている」と話すのはSFA Japanのゼネラルマネージャー 荻野雄仁氏だ。同社の排水圧送ポンプは大掛かりな工事をすることなく、簡単に水回り設備を増設できるのが特徴だ。

従来、水回り設備を増設するには床をはつったり、床をかさ上げしたりするなどの工事が必要になる。しかし同社の圧送ポンプを使用すれば、「どこにでも簡単に増設できる」と言う。

「オフィスビルやスーパー、コンビニなどの店舗では、今までも手洗い場の増設は潜在的な需要としてあった。ここに合ったら便利だが、手間やコストがかかるため、今すぐに増設する必要はないと先送りにされがちだった。しかし新型コロナの感染防止対策として、手洗い場の増設が待ったなしの状態になった」。

特に切実なニーズがあるのは、高齢者介護などを行う福祉施設だという。厚生労働省の5月の発表によると、クラスター発生件数7422件のうち、福祉施設が2006件と、飲食店の1374件よりも多い。福祉施設のうち、高齢者介護施設の割合が高く、1498件となっている。利用者や施設職員の密接がどうしても避けられないなど、やむを得ない状況があるようだ。

荻野氏は「出入り口にアルコール消毒液を設置して対策している施設が多いが、うがいまでしっかりできるように、手洗い場を増設したいと考えている現場の職員は多い。しかし、水回りの増設は工期が長くかかることや、施工に関わる多くの人が出入りするため、中々踏み切れないようだ。当社のポンプを利用すれば大掛かりな工事が不要なため、人手、工期、費用を抑えられる」と説明する。

手洗い場の増設によく用いられるというのは雑排水専用の圧送ポンプ「サニスピードプラス」だ。洗面台、キッチン、洗濯機などの雑排水の圧送ができる。VP20もしくは VP25の小径の排水管で圧送できる。最大圧送能力は揚程6㍍、水平70㍍まで。最大吐出量は毎分100㍑(揚程により変動のため詳しくは「能力曲線」参照)、 耐熱温度は75度。

sfa.jpg

オフィスでの手洗い場増設ニーズも増えている

■住宅リフォームにも

同社製品は、店舗、事業所、医療施設のほか、住宅向けでも広く採用されている。「配管の場所を気にする必要がないため、介護が必要になった住宅などの寝室にトイレを増設することも可能だ。また、住宅でも手洗い場を玄関に増設したいという話が増えている」。


ユニフロー、自動ドアとアルコール噴霧器の連動

手洗い、手指消毒をするとドアが開く


スイングドアメーカーのユニフローは、「自動ドアとアルコール噴霧器連動システム」に注目が集まっていると話す。「以前より、医療施設や食品工場などでは衛生管理のためにドアと手洗い器を連携させたシステムが使われていた。新型コロナの感染拡大を受け、さらに関心が高まった」(営業企画部の齋藤弘幸氏)。

同システムは、ドアの横にある手洗い場で手を洗い、エアータオルで手を10秒以上乾燥させるとアルコール噴霧器に信号が送られる。そしてアルコール噴霧器に手をかざすと自動で消毒液が噴霧され、ドアが開く仕組みになっている。「手洗い、アルコール消毒を行って初めて入室できる。ドアノブなどを触る必要もないので、衛生を保つことができる」(齋藤氏)。

yunihuro-.jpg

自動ドアはリニアモーター式で、一般的なベルト式と比べて作業時の摩擦が少なく、静かでスムーズな開閉を実現した。摩擦による発塵もわずかなため、異物混入リスクを低減できるという。自動ドアのほか、シートシャッターと連携することも可能だ。

■海外ではスイングドア需要増

接触箇所を減らすため、スイングドアに開閉器を後付けして自動ドア化するニーズが、海外で多いという。「当社のシンガポール拠点では、スイング扉に開閉器をつけて自動化するなどの提案を行っている。また消毒器との連動システムも、日本よりも海外の方が反響は大きい」。


スマートロボティクス、遠隔操作ロボで病院内の殺菌作業

離れた地からコントローラーで操作


ロボット・ドローンなどの開発を行うスマートロボティクスは、「遠隔操作型の殺菌灯搭載ロボット」を開発した。同社は開発の背景について、「新型コロナウイルスの感染拡大により、病院では今まで以上に院内の消毒作業などを行わざるを得ない状況になった。そのため、労力だけではなく医療従事者の心的不安も大きかった。そこで、遠隔操作型のロボットを改良し、殺菌ロボットを開発した」と話す。

同ロボットのベースとなっている「テレワークロボット」は、遠隔操作型の自走ロボットだ。現場に行かなくても、遠隔地から運搬や会話、見回りをすることができる。専用コントローラーをスマートフォンやパソコンに接続し、ロボットのカメラの映像を見ながら操作する。ロボットの知識がなくてもゲーム感覚で操作できるという。ロボット本体に通信モジュールを内蔵した遠隔操作型のため、同じ施設内の離れた場所や、自宅からの操作が可能だ。

台車部分をカスタマイズでき、様々な作業に使用できるのが特長だ。「例えば飲食店では台車部分に配膳台を乗せ、配膳作業用を、倉庫ではカゴを牽引して運搬作業を行っている事例がある。今回は台車部分にUVC(紫外線)ランプを搭載した」。

■実証実験を経て販売へ

昨年6月には新型コロナウイルス感染症神奈川県対策本部の協力のもと、神奈川県新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養施設にて、受付や食事配膳場所などの走行、UVC照射、照射後の効果測定などの実証実験を行った。「人が近くにいないか、目指す場所に的確にUVC照射が実行されているかなど、操作画面上で常時確認し、最善の走行ルートを選択して殺菌を行うことができた。特にしっかりと殺菌をしたいポイントを事前に決め、3分間停止をして照射を実施するなどの工夫もした」。

1_スマートロボティクス.jpg

「遠隔操作型の殺菌灯搭載ロボット」の作業の様子

こうした実証実験を経て、昨年10月から販売をスタートさせ、全国の病院で採用されているという。初めての医療機関での導入となったのは国家公務員共済組合連合会 横浜栄共済病院(神奈川県横浜市)。スタッフの除菌作業前の一次除菌として使用されている。遠隔操作のため、スタッフのウイルス接触リスクを低減することができ、紫外線にさらされることなく作業を行うことができる点や、手が触れる場所だけではなく、空間など広範囲を短時間で除菌できる 点が採用の決め手となった。

現場の職員は、「導入当初は、ロボットが院内を走っていることに驚いている人もいた。しかし、ロボットがUVCを照射して除菌していると理解が浸透してからは、『ここでも照射して欲しい』と連絡が来るようになった」と話す。

今後の展開について同社は、「医療施設のほか、商業施設での実証実験の事例もある。同製品の自律走行タイプも販売を開始したので、様々な場所へ安心・安全を提供できるよう、導入現場の環境にあわせて、遠隔操作と一緒に提案を強化していく」という。


パナソニック、非接触・非対面の次世代型ホテル

ホテル経営のDX実証実験


パナソニックは、SQUEEZEが運営するホテル「Minn 蒲田」(東京都大田区)にて、非接触・非対面・省人化運営と高品質な接客の両立によるホテル経営のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するための実証実験を69日より開始した。

SQUEEZEは、省人化ホテルや、ホテル・民泊向けのDXに関する実績や知見がある。そこで、すでにSQUEEZEが運営している無人・省人施設にて、有人運営と同水準の接遇サービスによりホスピタリティを維持・向上させ、さらに客室単価、リピート率の向上を実現できるかを検証する。

2_パナソニック_ホテル.jpg

Minn蒲田の外観

パナソニックは「ホテルの収益は、環境変化の影響を大きく受ける。さらに固定費の高さも課題となっている。中でも人件費は全体支出の約40%にも上る。固定費を極力減らすことで、持続可能な事業を実現できると考えている」と話す。

今回の実証実験でパナソニックが提供するのは、遠隔コミュニケーションシステム「AttendStation(アテンドステーション)」と、電力モニタリングと遠隔コントロールシステム「AiSEG2(アイセグツー)」だ。

アテンドステーションは、宿泊客から離れた場所にいるフロントコンシェルジュがディスプレイ上のアバターを介し、問い合わせ対応などの接遇を行う。アバターは操作しているフロントコンシェルジュの顔の動きと声に連動。状況に応じてお辞儀をするなど、しぐさを選択することもできるため、非接触・非対面ながらも対面に近い案内ができる。あらかじめ用意している補足説明資料やWEBサイトを対話内容に合わせて表示することも可能で、「ゲストの満足度を損ねることなく、フロントの人件費約75%削減を目指す」と言う。

■客室の採算の 見える化

電力モニタリングと遠隔コントロールでは、部屋ごとの採算を見える化し、原価管理を行う。IoTAIなど最先端技術と、配線器具や開閉センサーなどの技術を融合したアイセグツーを活用する。

これまでホテルでの光熱水費の管理は、部屋別ではなく棟全体での管理が一般的だった。今回の実証実験では、住宅分野での実績と知見をホテル居住空間に活用し、部屋ごとの電気代を緻密に把握する。

さらに、無人チェックインシステムと連携させることで、ゲストのチェックイン・アウトに連動して、空調・照明をコントロールする。無駄なく制御することで、部屋ごとの電気代約10%削減を目指す。

「将来的にはチェックアウトのタイミングの把握や、電力使用データによる滞在状態、電気機器の使用有無を確認し、光熱水費の低減や適切な清掃の最適リソース配分を行うなど、さらなるコスト削減にも取り組んでいく」