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使える自動認識

生産管理から仕様確認まで

北川鉄工所の標準チャック側面にもQRコードが付いている。

産業オートメーションに欠かせない自動認識。ビジョンセンサーやRFID、生体認証などが広がっている。(一社)日本自動認識システム協会がまとめた2020年の自動認識市場全体の出荷金額は、前年比85%増の2310億円と大きく伸びた。21年については「新型コロナウイルスの影響で先行き不透明であるが、多くの業種で自動認識システムの導入が検討され、またリプレイス需要にも期待感がある」とし、同49%増の2423億円を見込む。

近年スマートフォンの普及に伴い利用が広がっているのはQRコードだ。Quick Responseの名のとおり、実に003秒の読み取り速度を誇る。2次元バーコードの1つに過ぎないが、格納できる情報は多く(数字なら最大7089文字、英数なら4296文字、漢字なら1817文字)、クラウド連携させなくても多用途に使える。

9面モノづくり再構築・自動認識P1日進工具.jpg

日進工具の製品ケース裏面にあるQRコード

歪んだ構造でも読めるように補正するので、円筒状のものに貼られていても読める。誤り訂正機能をもち、最大30%破損しても読める。スマホをかざした時に多少影があっても読めるのはこのためだ。それもそのはずで、もともと工場での生産管理のために開発された。1994年に発明したデンソーウェーブの原昌宏主席技師は「工場で使われる環境は油などで悪くコードが擦れたりもする。こんな機能がないと使ってもらえない」と話す。

生産管理以外でも使われている。たとえば日進工具が自社の小径刃物に盛り込んだ「NS Connect」。製品の入ったケース裏面のQRコードを読み込むとその刃物の特長や規格・切削条件、加工動画などが見られ、後藤弘治社長は「手元にカタログがなくてもいつでもどこでも使用直前に情報を確認できる」と利点を強調する。

北川鉄工所のいち押し標準チャック「BRシリーズ」の側面にもQRコードが付いている。スマホをかざせば常識を覆す001T.I.R.以下の把握精度を実現したことや、年間約450時間の節約(13回の段取り替えで)ができることが窺い知れる。オプションの特殊Tナット「TnutPlus」を装着すれば再取付けしてもこの高把握精度を保て、ジョーの再成形が必要ないためだ。

QRコードは進化しており、セキュリティを高めるために非公開領域を持たせ、あえて専用のリーダーでないと読めなくしているものもある。

(2022年3月25日号掲載)