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Opinion

研削加工の最新技術トレンド

スマート化に向けて大きく前進

JIMTOF2020 Onlineで見ることができた研削加工関連の技術トレンドとしては、図に示すような6つの技術指標と先進的な研削盤設計技術を挙げることができる。

日本工業大学工業技術博物館 館長 清水 伸二 (上智大学名誉教授)

最も強力に推し進められた技術指標は、知的なものも含めた「高度自動化」である。研削加工作業には、他の加工法と比較して、多くの段取り作業があり、それらの自動化が重要課題となっている。例えば、砥石のバランシング作業、砥石と工作物の交換、ケレによる工作物駆動の不要化、機上測定とそれに基づく修正加工など、多くの自動化への取組みが見られた。さらに心なし研削盤においては、工作物に合わせて砥石位置を自動的に調整するなど、多くの作業が自動化された。

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この自動化をさらにレベルアップするために多くの「見える化」が進められた。例えば、研削盤の予防・予知保全のための機械の稼働状態、砥石のドレッシングインタバルの自動管理のための砥石作業面状態、工作物の品質管理のための加工精度や品位、そして熱変位の補正を行なうための砥石や工作物表面位置など、多くものを見える化するための取組みがなされた。

「つなぐ化」技術としては、既にIoT化が鋭意進められている。研削盤においては、内外面の研削や、研削と切削加工との複合化など、同一機械上で複数の異なる加工を行なう工程短縮がなされているが、その際の工程結合をシームレスに行なうためのつなぐ技術が進んだ。例えば、シューを用いた円筒内外面の研削加工におけるシューの段取り変更をNC制御により自動的に行なうなどの技術が挙げられる。また、今回は、各種加工機能を持ったモジュール化された研削盤が提案され、それらを並べてラインを構成する提案が見られた。そこでは、切削加工機と同様、ロボットやローダを駆使した、異機種間をつなぐための技術が重要になっている。さらには、研削盤と工作物マガジン(パレットストッカ)やツールマガジン(ツールストレージ)との結合も、ビルトインロボットを活用したコンパクトなシステムが、工具研削盤を中心に多くの提案があった。

研削加工では、砥石の選択に始まり、ドレッシング条件、加工条件の設定、ツールパスの発生など、加工のための多くの準備作業が必要となっている。このような作業を支援するCAMなど、ユーザの加工支援を高度に行う各種ソフトウエアがCNC装置に搭載されるようになってきた。これは、顧客に研削盤を納入後、その持っている機能を持続的に有効活用してもらうための支援で、ユーザの生産技術力が持続的に成長していくためのサービスでもある。また、今回は、研削盤のサブスクリプションビジネスの提案もあったが、これは、顧客の生産設備を陳腐化させないで、生産技術力を持続可能にするサービスとも言える。この他、加工精度・品位を安定的に維持するために、前述のようなオンマシン計測機能を搭載するなどの取組も多く見られ、様々な切り口からの「持続可能化」が進んだ。

一方、切削加工機ほどではないが、各種研削加工を行なえる複合研削盤を中心に多品種少量生産に向けての「複合化」が進んだ。異種加工との複合化は、切削との複合化が中心で、大きな進展は無かった。複合化は、各種加工機能を研削盤に搭載することとなり、加工システムに柔軟性を与える。柔軟化は、インダストリ40で目指している、個の量産を実現するための重要な技術の1つであり、今後の進展が期待される。「省エネ化」も当たり前のように進められていたと言える。前述の加工プロセスの「見える化」、シームレスな「つなぐ化」なども、間接的に省エネ化につながっており、鋭意進める必要がある。

以上のような技術指標を支えるための先進的な研削盤設計技術にも多くの進展が見られ、研削加工のスマート化が大きく前進したと言える。