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Opinion

三品業界の自動化・デジタル化

データ活用が成否のキーポイント

三品業界の人手不足、急激な需給変動、市場構造の変化など多くの課題を解決する手段として、「自動化」「デジタル化」は業界内の大きな課題でもある。そこで製造業における自動化を数多く手掛けるFAプロダクツ・貴田義和社長が、実際の導入事例を交えて三品業界のDXについて語った。

FAプロダクツ 貴田 義和 社長

昨今、食品製造業のみならず、製造業全体が少量多品種の生産を求められている。工場の運営においてボトルネックになりがちなのは、段取り替えや品質チェックの部分である。このような部分を自動でコントロールしタイムロスを無くすためには、人手や熟練の技に頼らない安定した工程が求められる。

しかし、食品業界は自動車メーカーや半導体メーカーなどに比べて、デジタル化が遅れている。自動車や半導体は人間の手では作りづらく、機械化が元々進んでいる分野である。一方、食品業界や薬品業界、化粧品業界などは人に頼る部分が多いため、自動化やデジタル化が遅れている。

三品業界の自動化・デジタル化には様々な課題がある。費用対効果が計算しにくい。現場の反対が大きい。最適な投資金額が算出できない。生産系とIT系双方の技術を持っている企業が少ない。機器メーカーや専用機メーカーが全体最適を考えた構想を描いていない……等々、諸問題が山積している。

未来に向けて、まず取り組むべきは現場のデータをしっかり活用することだ。吸い上げたデータを活用することで課題が浮き彫りになるケースも少なくない。比較的着手しやすく、早期に効果が見込めるのは生産・稼動管理、保守管理だ。品質管理と在庫管理ははっきりとした効果が出るまで時間がかかるが、いずれ大きな成果となることは間違いない。

当社では以前、とある食品メーカーに「稼動監視パッケージ」を導入していただいた。稼働監視は、設備自体の停止要因を突き止めて早期の改善に繋げられる。導入以前は手書きで設備の止まった時間や、復旧した時間などを書き込んでいただけで、なかなか過去データの活用に至らなかった。そこで当社は現場に停止要因として考えられる項目をあらかじめセットされたタッチパネルを置き、設備が停止してしまった場合に停止要因や時間を記録する仕組みを導入した。また製造設備の稼働状況データはPLCやセンサーなどから取得することができる。

これにより設備の停止状況と停止要因の関連性をデータ分析することで設備の改善点が明確になった。さらに稼働状況から生産計画自体を見直し、収益向上に繋げることも可能だ。

古い設備でも可視化を実現
生産性を高め、「止まらない工場」を目指すためには、設備の保守管理は極めて重要だ。当社では振動予知保全システム「Siluro(シルーロ)」を提案している。これは生産設備に6軸のセンサーとAIを取り付け、壊れる前の予兆をキャッチし、大幅なダウンタイムを未然に防ぐ。

現場の設備は様々で仕様も違うため、単に振動の量や強さだけで判断するのは難しい。まずは周波数分析をして、どの周波数の振動帯を監視するのかを設定する。そして決まったポイントに対してAIを用いた機械学習をかける。だが、正常なデータから壊れたときのデータまでを大量に集めてディープラーニングを行うのは時間も費用がかかる。そこで当社では正常値の値だけ覚えこませ、それを基準に判断するシステムを構築し、どの現場でもスムーズに導入できるようにしている。

ちなみに製造業における予知保全の事例で多いのはポンプやモーターの異常。食品業界だと包装機などにもよく見られる。当社のシステムはレガシーと呼ばれるような古い機械でも後付け可能なので、あらゆる設備の可視化を実現できる。

食品業界に限らず、自動化・デジタル化はスモールスタートでもまずは始めてみることが重要。そこから大きく育てていけばいい。また、将来を見据えた横展開がしやすいシステムやツールを選ぶことも重要だ。