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HAI ROBOTICS JAPAN 新井 守 社長

全体最適の視点でケースハンドリングの最適解を

ACR(ケースハンドリングロボット)システムを展開する中国・HAI ROBOTICS社。日本法人の設立は2021年だがすでに200台以上のACRを販売するなど勢いがある。スタッカークレーンを使う従来の自動倉庫とは段違いの柔軟性で国内市場を深耕する。

――会社概要を教えてください。

HAI ROBOTICSは中国で2016年に創業。日本は21年進出です。ACRシステムに特化しており、ACRが棚の上部までアクセスしケースピッキングと搬送を行います」

――展示内容は。

「国内初披露の『HaiPick System3』は保管効率の高いシステム。ACRが専用ケースにフォークをひっかけて取り出します。ケース同士はフックで連結され、手前を取れば奥のケースも自ずと前へ出る仕組み。ケースの隙間を極限まで詰められます。そのほか3Dカメラで荷姿を判別し様々なワークを扱えるACRも展示しています。こちらはケース間の隙間こそ必要ですが柔軟なシステムです」

――AGVと連携したデモを披露しています。

「今回、ACRは保管エリアの作業に専念し、AGVが作業者への搬送を担う役割分担をお見せしました。ただしこれは考え得るデザインの一つに過ぎません。弊社がカバーするのはケースハンドリングという工程、つまり部分最適です。しかし最も重要なのは倉庫の全体最適で、だからこそ様々な現場に合う提案ができるよう、他にも色々なアイデアを準備しています。単独で対応できない領域は他社とタッグを組み、我々の部分最適を全体最適の観点でどう活かすかを重視しています。これはお客様の望みとも合致します」

――従来のスタッカークレーン型の自動倉庫と比べた利点は。

「費用感も違いますが、最大の利点はリカバリーの容易さ。クレーンがダウンすると手の打ちようがない従来の自動倉庫と違い、故障したACRをラインアウトするだけで済みます。これは大きな優位性です」

――国内実績は。

「すでに約10件、ACR換算で200台以上販売しています。いずれも我々がドアをノックしたわけではない。つまり営業活動をせずとも引き合いがなだれ込むほど、このACRシステムが待ち望まれていたのでしょう」

――短期で実績を重ねられた要因を詳しく教えてください。

ACRはまだ世の中に浸透していない新たなプロダクト。お客様の期待値も高く、品質、すなわち垂直立ち上げ・安定稼働が最重要です。日本はこの点に寛容ではないからこそ、我々は日本法人の立ち上げ当初からチームビルディングやACRへの理解度の深化に注力しました。最初期に基盤を固めたからこその現在地だと思います」

――2024年問題への対応策は。

「ドライバーのリレー輸送で各地に小規模拠点が増えると見込まれます。すると各拠点で費用を抑えた自動化設備が望まれるでしょう。この変化に我々は追いつく必要があります。具体的には小規模拠点に選んでもらえるパッケージの考案を考えています」

(2024年4月25日号掲載)