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オートストア システム マネージングディレクター 安高 真之 氏

早さを求める現場へ『眠らないオートストア』

日本でも見慣れたオートストアだが、実は着々と進化している。OSのアップデートや新たなワークステーションの投入、急速充電対応の新ロボットで能力が大幅に上がっているのだ。24時間稼働の現場にも対応する、最新のオートストア事情を聞いた。

――展示の見どころは。

「ひとつは『FusionPort』。ピッキング間口が2つの効率的なワークステーションです。開口部の傾斜で商品を取り出しやすく、作業性とスピードに配慮しました」

――開発の背景は。

「ここ34年で24時間稼働のECやクイックコマースのような大規模かつ回転が早いお客様が増えたこと。より効率的なワークステーションが望まれており、同じ理由で24時間稼働できる新たなロボット『R5 Pro』も開発しました」

――詳しく教えてください。

「従来のロボットは4時間の充電で約10時間稼働するイメージ。日勤なら夜間充電できるのでそれで十分でした。しかし24時間稼働では充電時間を加味してロボット台数を増やさねばなりません。R5 Proは急速充電に対応し7分の充電で3時間稼働できます。『眠らないオートストア』が実現できるわけです。同時に充電ポートの数も減るので保管効率も上げられます。海外では販売開始直後に受注が決まるほど、待望のソリューションでした」

――オートストアの能力は従前よりかなり上がっている。

「遡ると2020年に行ったOSアップデートでかなり能力が向上しました。走行経路に別のロボットがいてもルートを柔軟に変更できるようになり、同じ面積に導入できるロボット数が倍になったんです。このようにオートストアは常に進化しています。17年当時の能力は1時間あたり千行程度でしたが、直近では同2万行の能力を持つ大規模で早いオートストアが欧州で実現しています。『保管効率は高いが早いオペレーションには使えない』というイメージは昔の話。ECに限らず製造業のパーツセンターも視野に入れ提案します」

――自動倉庫を手がけるプレイヤーが増えています。

「個人的には大歓迎です。私の肌感では日本の自動化の進捗は10%程度で、まずは自動化に目を向けて頂く必要があります。ドイツやアメリカでは人件費が跳ね上がっており、投資回収期間も短いため適切な投資で自動化しない方がむしろリスクです。インフレや2024年問題の対応を迫られる日本も人を確保できない時代はやってくるでしょう。少なくとも、自動化の検討を始めて頂きたいと思います」

(2024年4月25日号掲載)