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ニッセイ 減速機事業部 生産革新部 生産革新二課 課長 社本 博光 氏

高精度・短納期を重視、「工程集約へ ギアスカイビング加工機導入」

減速機と歯車を製造し、減速機では多くの標準製品をラインナップする。これまでのニッセイの減速機は工作機械・搬送機械・食品機械・包装機械や自動ドアなどに採用されてきたが、昨年発売した高剛性減速機「UXiMO(アクシモ)シリーズ扁平・軽量タイプ」および一昨年発売した「大口径中空タイプ」で新たな需要を開拓する。

減速機事業が開発・生産を行ってきた製品を紹介するショールームに立つ社本博光さん。設備の導入、立ち上げで多忙な毎日を過ごすが、「課内での活発な意がモチベーションにつながっています」と笑う。

――最近の景況感は。

「減速機事業では工作機械、搬送機械、食品機械向けが堅調に推移しています。中国、韓国では引き続きEV用二次電池向け設備が堅調。自動化ニーズの高まりにより設備投資需要は継続していくと考えています」

――減速機生産のための主な設備は。

「マシニングセンタ(MC)や各種歯切盤、研削盤、熱処理設備などを保有し、社内で一貫生産できる体制を取っています。生産量としてはインダクションギアモータ、IPMギアモータ、バッテリー電源ギアモータ、サーボモータ用高精度減速機、高剛性減速機など計年間60万台になります」

カラー6面減速機と歯車加工機・ニッセイP2.jpg

昨夏発売した「UXiMO(アクシモ)シリーズ」の扁平・軽量タイプ(右上の3種)と一昨年発売した大口径中空タイプ

――新製品である高剛性減速機「UXiMOシリーズ」の売れ行きはいかがですか。

「売れ行きとしましては、お客様評価に時間が必要となりますのでまだこれからの段階ですが、ロボットの関節部分・半導体製造装置・工作機械のほか、一般産業機械のお客様からもお引合いをいただいており、幅広いニーズがあると感じています。デリバリーも当社の強みで、UXiMOシリーズでは標準納期1カ月としており、お客様からも高い評価をいただいております」

――高剛性減速機の歯車の加工で重視されていることは。

「ロボットや半導体業界をターゲットにしていることから、従来品よりも厳しい加工精度が要求されます。高精度の歯車をいかにコストを抑えてつくるかを重視しています」

――それを満たすために、最近新たに設備された加工機はありますか。

「ギアスカイビング加工機を導入しました。メリットとしては複合加工機として加工できる点で、歯車の生産現場を大きく変える可能性を持っています。従来は複数の専用機が担ってきた歯車加工の工程を集約することで、生産効率アップやコスト削減が期待できます」

――QCD向上のための取組みは。

「高精度な部品品質を担保するために全品測定を実施していますが、手作業による測定品質のバラツキを抑えるために自動化への移行を積極的に進めています」

――測定の重要性が増していますね。この部分の設備投資にも力を入れていますか。

「今後も測定の自動化に向けて積極的に投資をしていきます」

――新たな製品展開や需要開拓の予定は。

UXiMOシリーズとして2種類発売しましたが、今後も市場ニーズを探り、品揃えを増やしていきたいと考えています。ロボット向け以外にも、これまで以上に高精度、高剛性が求められる工作機械や一般産業機械、FA装置にも採用を増やしていきたいですね」

6面減速機と歯車加工機・ニッセイP3.jpg

軽量・コンパクトであり、剛性、精密性が求められるロボットの関節部に使用することでロボットの高速化、高強度化が可能に

株式会社ニッセイ

1942年設立、社員892

愛知県安城市和泉町井ノ上1-1

各種減速機と各種小型歯車を製造販売(売上比率はおよそ73)。それぞれ年間60万台、600万個生産

日本ミシン製造(現ブラザー工業)へミシン部品を供給するメーカー、日本ミシン針製造として設立後、削る・磨くを武器に小型歯車および工作機械部品(1955年)、減速機(1974年)の生産を始めた。国内製造拠点は本社工場(歯車製品を中心にモーター巻線も)とその真向かいの減速機第2工場(減速機向け歯切りおよび歯車後工程)、500mほど離れた安城南工場(減速機向けモーターコア積層、ケーシング加工、組立)の3拠点。中国に日静減速機製造(常州)有限公司(減速機の組立を中心に一部加工)をもつ。2022年にブラザー工業の完全子会社。経産省の「健康経営優良法人2023」~ホワイト500~に認定。