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幅広いオプションで付加価値高める

エンシュウ 執行役員 営業・開発本部 第二営業部長 加藤 猛 氏

遠州(静岡県西部地方)に本社を構えるエンシュウは工作機械、レーザー加工機、自動車部品の受託加工と多様な事業をもつ稀有なメーカーだ。搬送装置を含めた自動生産システムは簡単に、省スペースに、省エネで導入できるのがウリで、様々なオプションで拡張性をもつ。

――貴社は立形と横形のマシニングセンタ(MC)のほかレーザー加工機を製造・販売されています。一番動きがあるのは。

「当社はMCの比重が多いです。お客様は自動車関係が売上全体の90%ほどと多く、立形MCよりも横形MCのほうが多いです。北米、ヨーロッパのお客様もほぼほぼ横形MCですし、中国のお客様も日本から出荷する分は横形MCが多いですね。立形の40番機、30番機は中国で生産していますので、中国国内への立形MCは現地生産したものを販売しています」

――自動車関連のお客様が多いのでEVシフトの影響は大きそうです。

EV化に伴い部品点数が減って、当社の得意なエンジン、トランスミッション部品向けの加工機の受注は減っていくだろうとは思っています。ただ、自動車関係のお客様はEVに向けて投資しようと動き出しています。あと、国内外で自動化の流れがあり、特に日本では働き方改革や人手不足に対する自動化のニーズは高いと思います。自動車関係のお客様に多くの自動化のシステムを納入させていただいた経験やノウハウを生かせるとポジティブに捉えています」

――貴社は「Easy Automation」をコンセプトにMCと搬送装置を組み合わせた提案を2019年からされています。

 「自動化というとロボットやガントリーローダーを組み合わせたものが多いと思います。でも操作や調整が難しい、使い勝手が悪いと二の足を踏まれるお客様もいらっしゃいます。当社のMC内蔵型搬送装置『E-Loader』なら簡単に自動化できます。操作はすべてNC操作盤でできるので、加工プログラムがわかっていれば動かせます。内蔵型なのでスペース的なメリットもあります。立形MCに内蔵するかたちで、右から左に動かす駆動源は機械のX軸の動きを使い、導入コストを下げる効果もあります」

――現在のバリエーションは。

E-Loaderシリーズには2タイプあります。1つは19年に発売した片側のハンドで15㌔、両方で30㌔を運ぶことができるもの。昨年のMECTで新たにリリースしたのは片側50㌔、計100㌔を運べるものです」

――ターゲットとしては大企業から中小企業まで幅広く使っていただける。

「そうですね。自動車関係のお客様に多く収めさせていただきました。でも自動化の裾野はもっと広いと思います。MECTでは搬送装置だけではなく、前後にワークのストッカーや治具ストッカーも一緒に提案・展示させてもらいました。搬送時のワーク反転機や洗浄機等のオプション化を図っているところです。オプション化によってティア4やティア31個から大量生産のお客様も自動化しやすい。商品内容が分かりやすいオプション化を進めています」

■カスタマイズに自信

――手応えはありますか。

「コンスタントに売れてきています。ロボットラインに比べてスペースが30%も減ったとか、投資コストが20%下がったというお客様の声も聞いています」

――日本の工作機械メーカーが生き残るために欠かせない取り組みは。

「やはり品質、性能、信頼というのは絶対に欠かせません。それに加え、付加価値をつけた商品が必要だと思います。付加価値の中には先ほど申し上げた自動化があるでしょうし、環境対応は日本メーカーの強みになると思います。またカスタマイズも必要でしょう。当社は長く自動化、量産ラインを構築して納入させていただいていますので、カスタマイズ能力は非常に高いと自負しています。先ほどのELoaderのオプションに繋がります。そうした機能強化をわかりやすくお客様にご提示することで、付加価値として認めていただけるのではないかと思います」

――今年は4年ぶりのリアルJIMTOF開催となります。何を訴えますか。

「いろんな提案をしていこうと思っていますけれども、やはり電力をどうやって削減するか、CO2排出をどう減らすかも重要です。たとえばレーザー加工機はビーム溶接などに比べて省電力です。こういったことを新製品発表とともにPRします」

モノづくり特集リレーインタビュー(4)エンシュウP2.jpg

E-Loaderstockerを搭載した30番主軸立形MCWE30Ve

2022325日号掲載)