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TAKISAWA 国内営業部 部長 小川 智弘 氏

TAKISAWA 国内営業部 部長 小川 智弘 氏

昨年10月に100周年を迎え、「瀧澤鉄工所」から「TAKISAWA」に社名変更。新たなスタートを切った。長きに渡って加工現場で重用されてきた、主力製品の旋盤に加え、昨今セールスを拡大しているという複合加工機の需要動向を、同社国内営業部の小川智弘部長に聞いた。

――100周年を迎え、社名変更に伴いロゴや作業服もモダンに生まれ変わりました。

「今後、自社をブランディングしていくうえで『鉄工所』は少々古臭い、ということで100周年を機に変更しました。ロゴや作業服もユーザー様からはおおむね好評です」

――2022年度の需要動向についてお聞かせください。

「まず内需ですが、2021年度に比べ約1割以上増えだいぶ盛り返した印象です。一方で外需は欧州とアジアが良かったですが、米国向けがいまひとつだったのと、中国のロックダウンの影響を受け、少々伸び悩みました」

――前期決算では貴社のアジア向け販売は好業績を計上していました。その反動があったのでしょうか。

「コロナ禍による自転車ブームや、中国の富裕層向けの高級釣り具市場の伸長で、扱いやすい2軸旋盤に加えて、付加価値の高い複合加工機のセールスや自動機仕様も多くの受注を頂きました。そうした設備投資がひとまず落ち着いたのではないかと感じています」

――国内向けではどういったニーズをキャッチしていたのでしょうか。

「国内は自動車向けが芳しくない状況でしたので、新たなセールス先の開拓と需要の掘り起こしを主眼に置き、合わせ技で自動車向けが伸びなかった分をカバーした印象です。特に油圧関係や建設機械向けには、11タレットのCNC旋盤『TCN』シリーズをご採用頂く案件が複数ありました」

――工作機械メーカー各社には、半導体関連向けの旺盛な需要が寄せられているとも聞きます。

「直接の受注もありましたが、半導体関連は裾野の広い産業ですので、納入先をよくよく調べたら、半導体製造装置の部品加工向けの導入だった、などといったケースも少なくありませんでした。また自動車はいまひとつですが、オートバイ向けの案件は増加し、大口の受注も頂いています。これは国内向けというよりは、世界的な二輪需要拡大の影響が大きいと見ています」

――国内の自動車向けについては今後どう見通していますか。

「足元ではまだまだ戻りが遅いと感じています。昨今、半導体不足による納車待ちが長期化していますが、化石燃料車の生産台数を増やすために、メーカーサイドが新たな設備投資に踏み切るとは少し考えにくい情勢です。今後主流となるであろうEV向けに関しても、従来のような量産加工に踏み切るレベルには達していません。当社でもe︱アクスル向けをはじめ、様々なEV向け加工需要を狙っていきたいところではありますが、まだ不透明感が拭えないというのが実情です」

■従来機のカスタムにも注力

――自動車各社も適切な投資時期を見定めているという状況でしょうか。

「おそらくそうではないかと考えています。一方で、生産台数は増やさなければなりませんから、これまで眠らせていた遊休機の再活用が進んでいます。昨今、それらの案件が増えています」

――いわば『瀧澤鉄工所』時代の加工機のレトロフィットやバージョンアップといった依頼でしょうか。

「メンテナンスやオーバーホールの依頼もありますが、従来の化石燃料車の部品加工に対応するための治具や搬送システムの変更をすることがあります。投資を抑えるためだと思いますが、このようなお客様の要望に対してきめ細かく対応させて頂いています。当社ではこれまでも新品の販売においても、密着軸として一品一葉のカスタマイズに対応してきた歴史があります。ですので、古いモデルの改造も同様の方向性で取り組み、お客様に必要とされる機械に仕上げていきたいと考えています。大手メーカーさんではなかなか対応しきれない部分まで対応できる点は、当社の強みの一つでもあります」

――新旧問わず、貴社の加工機に寄せられるカスタマイズのニーズを教えて下さい。

「やはり自動化、工程集約といったニーズが顕著です。ガントリーローダーを使ったワーク着脱やワークの自動計測などが人気です。最近では協働ロボットの販売も増えています。従来、自動化は大手さん中心に導入が進んでいましたが、昨今では中小の製造現場からの需要が増えています。生産性向上を見越しての導入というよりは、人手不足に起因する設備投資ですね。そこまで加工数があるわけではない現場でも、将来的な人手不足を見越した導入が進んでいます」

――今後の展望についてお聞かせ願えますか。

「今年6月には販売店会とプライベートショーを計画しています。従来モデルに加えて複合加工機を中心に自動化提案もしっかりと行っていきたいと考えています」

――複合加工機は昨今、他社も注力しているジャンルになりますが、貴社のストロングポイントをお教えください。

「他社にはない機械剛性の高さとアレンジ力と考えています。。国内市場では機械剛性を重視されるお客様も少なくありません。そういった方々にもご納得いただける機械に仕上がっています。精度を維持しながら短時間バリバリ削れて、工程集約やバーフィーダーやガントリーローダーを使用した自動化にも対応する。それが当社の複合加工機です」

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TAKISAWAのフラッグシップモデル「TMX-4000ⅡST

2023310日号掲載)