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ファザーマシン2/Chapter21

勤務先を撮影場所に…会社と交渉!

みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。今回は、「工房と交渉編」をお送りします!

空前の「アルミホイル玉」製作ブームが到来(きっかけとなったアトリエpuchucoさんのX投稿画像)

みなさんは工作機械のレンタルサービスを利用したことがありますでしょうか? 調べてみると意外にも多いことに驚くと思います。比較的安価に場所と機械を使用することができますが、ボール盤や小型旋盤、小型フライス盤がほとんどで、個人でマシニングセンタを借りられるところは非常に少ないです。

壊されても大変ですし、借りる側からしてもリスクが大き過ぎますし、マシニングセンタやNC旋盤になるとメーカーや機種によって操作感が大きく異なります。スマホで例えるとiOSからAndroidに機種変更するイメージです。

普段仕事で使っている機械をそのままYouTubeで使えたら。終業後であれば技能向上のため、自由に使わせて貰える会社もあります。それがまさにそのとき勤めていた会社でした。

しかし、私たちは技能向上のためではありません。ユーチューバーになるという夢のためです。そこで私たちは会社と交渉することにし、3つの条件を提案しました。

1つ目は「仕事に支障ないようにする」2つ目は「レンタル費を払う」。3つ目は「工具は自分達のものを使用する」というものです。この条件で無事交渉が成立し、空いている部屋も借りられることになりました。

ユーチューバーとしては一銭も稼いでいない状況で、かなり痛い出費となりますが、他のチャンネルとの差別化を図るという意味でも必要でした。

4本目に公開した「ビスマス結晶作ってみた!」という動画は、ヴィレッジヴァンガードにあった「鉱物レシピ」(さとうかよこ著/グラフィック社)という本がきっかけです。

シンプルな製造方法ながらも美しく、カッコいい! 作ってみたい! という思いから企画しました。今思い返すとどう考えても工業ではなく化学なのですが、同時期に大手チャンネルでも似た企画が行われていたため、予想以上に視聴され、それに伴いチャンネル登録者数も増加しました。

■空前の「アルミ玉」ブーム到来

さらに視聴者を獲得できたのが、ケロさんのバイクパーツ製作のシリーズ企画。マシニングセンタを使ってバイクパーツを製作するユーチューバーは、日本ではめずらしく、アルマイト加工まで自ら行うというこだわりと、製作物の高いクオリティで、ものづくりとバイクの両方に興味を持つ層に上手く刺さりました。

そしてビッグチャンスが訪れます。「空前のアルミホイル玉製作ブーム」の到来です。これは20183月に1人のX(旧ツイッター)ユーザーによりポストされた投稿により始まります。

そのポストには「アルミホイル(16㍍)を丸めて叩いて、球にしました。」というコメントと共に、極めて真球に近いアルミホイルの写真が掲載されていました。

このポストは瞬く間に拡散され、この時期からさまざまなユーチューバーがこぞってアルミホイル玉製作動画を公開し始めます。もちろん、工業系ユーチューバーである私たちもそのなかの1人でした。

次回は、バズと収益化です。お楽しみに!

(2024年4月10日号原稿)

工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ
工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は12.4万人(2024年4月10日現在)