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扉の先68/倉庫運営をスマートに

YEデジタル、WES使いプラグインで自動化設備 追加

AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行型搬送ロボット)、デジタルコンベヤ、自動倉庫、ピッキングロボットなどが物流施設に導入されている。少ない人手で仕分け・搬送・梱包・出荷を効率化するためだが、「やり方を間違えると逆効果になるケースがある」と指摘するのはシステムベンダーのYEデジタルにおいてスマートロジスティクスを推進する第1システム技術開発部長の浅成直也氏だ。

WMS(倉庫管理システム)に自動化設備を次々に連携するとかえって足かせになる3つの落とし穴がある。設備ごとに個別にカスタマイズすると導入までに時間を要し、WMSの複雑化によって追加コストが増し、設備メーカーごとの制約でスムーズな拡張ができない」

そこで同社が提案するのはWES(倉庫実行システム)の活用だ。昨年11月にリリースしたWESMMLogiStation」は左図のようにWMSと、倉庫内の設備のリアルタイム制御を行うWCS(倉庫制御システム)の間で物流現場の制御・管理に特化するもの。このシステムのポイントは4つある。WMSから完全分離し、プラグインで自動化設備を追加でき、倉庫内のすべてのオペレーションを制御・管理し、導入効果を可視化できること。プラグインの実現に関しては先行してマテハン機器メーカー十数社と協業中で、「スマートな倉庫運営に十分対応できる」と浅成部長は自信を見せる。

マテハン設備を追加するたびにWMSを改修するとコストは膨れ上がる。自動倉庫やピッキングロボットなど4つの設備を後から追加導入した場合の改修コストを同社が試算すると、WMSを改修してWCSに連携する方式とMMLogiStationWES)を導入する場合とでは数千万円のコストダウンが可能という。差は歴然だ。

■オペレーション最適化へ

WESを中心に自動化設備導入を促進しようとする専業ベンダーは珍しく、現状ではWMSWCSの機能を拡張させるかたちで扱う企業が数社ある程度という。しかし導入効果に期待する企業は少なくない。今年9月に公開されたソフトバンクロボティクスのESR市川ディストリビューションセンター(千葉県市川市)内の物流自動化ソリューションの体験施設「SoftBank Robotics Logistics Innovation Lab」にMMLogiStationが採用された。

浅成部長は認知度の高まりを感じている。

「発売当初はWESって何?という感じだったが、ウェブやリアルでのセミナーの成果もあってか、ここ数カ月は認知が広がりWESを導入する効果もきちんと理解されるお客様も見られるようになってきた」

YEデジタルは目下、3PL事業者をターゲットに早期に8拠点、2年後に50拠点での採用を目指す。課題はWESWMSにどのようにつなげばよいかをユーザーに明快に伝えることだという。「つなぎ方はお客様により千差万別。当社は案件ごとに対応しているのが現状だが、プランABCとお客様にとってわかりやすく費用も把握しやすい商品として用意していきたい」と言う。

(2022年11月25日号掲載)