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ソディック COO(最高執行責任者) 圷(あくつ) 祐次 氏

会話重視で組織をうまく運用する

他社にない機能をもつ放電加工機メーカーとして業界をリードするソディック。マシニングセンタや射出成形機など多くの製品もラインナップする。日・中・タイに工場をもつグローバル企業でもある。29年間におよぶ米国での活躍が評価され、昨年11月に同社として初のCOOに就任した圷祐次氏に話を聞いた。

横浜市の本社ショールームでワイヤ放電加工機「ALN400G iG+E」を紹介する圷祐次COO

――COO就任は貴社として初めてだそうです。

「重責を担うことになりますね。私の役割は米国で培った経験を日本で生かすこと。重要なのは足元が手薄にならないようにお客様の意見と社内の意見を聞いてサポートしていくこと。中長期的に事業を強力に推し進めるにはグローバル体制の強化が必要です。変化が激しい昨今ですから、こうした取り組みはなおさら重要です」

――多くの事業を手がけるメーカーなので簡単ではありませんね。

「製品は放電加工機・射出成形機・マシニングセンタ・金属3Dプリンタ・食品機械と多岐にわたり、すべてを隈なく見ることはできません。一番重要なのは組織をきちんと運用していくことでしょう。チームワークをうまく組織力として機能させる。可能な限り現場の声を直接聞く。社員のモチベーションを同じ目線で高めていくこともしなければなりません。私が長くいた米国で経営がうまくいっている理由は、リーダーが方向性をしっかりと示しているから。当社においては、欧米流のジョブ型雇用も進めていく必要があると考えます。要は一人ひとりのやるべき仕事を明記し、それに対する目標を設定し、その達成度を見て互いに話し合う。コミュニケーションのなかで査定の場も設けることにより一個人のキャリアを明確に示します」

――EVDXへの対応は進んでいますか。

「当社の主力である放電加工機はEVの性能に直結するモーターコア金型向けに需要があります。またEVを効率よく走らせるために、様々な部品の軽量化や高精度な部品の需要が高まっています。当社はラインナップが揃っているので微細化、複雑化、一体化に対応しやすい。自動運転の分野で細かいセンサーやカメラが増え、その金型に対する需要も出てきています。今までの自動車産業はサプライチェーンがたくさんあるピラミッド型。EVの場合、サプライヤーが自動車メーカーから放射状に点在するかたちになります。こうした構造の変化にもついていく必要がありますね」

■顧客の在庫管理まで担う

――いま最もアピールしたい製品は。

「ワイヤ回転機構『i groove』を搭載したワイヤ放電加工機『ALシリーズi+GE』です。ワイヤを回転させることで常に新しいワイヤ面を使うので高厚板ワークでもスジ、ムラのない均一な仕上げ加工面質を実現します。仕上げワイヤ消費量を最大30%削減するとともに、新開発のデジタルHF制御で加工速度を20%向上します。またインバータ制御のポンプシステムの採用で消費電力は2030%削減します。日刊工業新聞社の2022年『十大新製品賞』本賞にも選ばれました」

――中長期的な目標は。

「簡単に言えば『お客様に最高の価値、サポートを提供する』『人が成長できる企業になる』『サステナブルな社会に貢献する』です。お客様に対してはDX化の推進、IoTCRM(顧客管理システム)を利用してコミュニケーションを図り、生産性を高めて、サポートを強化しています。たとえばCS(カスタマーサポート)事業を強力に推し進めている当社米国法人での消耗品販売員は、もうそろそろこのお客様はワイヤ線とフィルターがなくなる頃だと把握し、最適な時期にお客様の手間をかけずにこちらから働きかけることができます。お客様も人手が不足するなかでの在庫管理はとても大変で、それを我々が担うということです。グローバル展開している当社には世界各地に販売会社もあり、会社全体をグローバルな視点で見られるような人材を増やしていきたい。日本だけでなく国内外で活躍できる人材を育成していく必要があると思います」

2023310日号掲載)