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Aiソリューションズ 新井 郁雄 社長

5軸加工をワンランク引き上げる「シミュレーション」と「最適化」

各種展示会等でさまざまな工作機械メーカーなどから「提案力や技術力といった総合力がズバ抜けている」と耳にするソフトベンダー、Aiソリューションズ。5軸CAD/CAMソフト「hyperMILL(ハイパーミル)」の国内セールス首位の同社・新井郁雄社長に、昨今の設計ソフトに寄せられるニーズを伺った。

直近の販売動向を教えて下さい。

昨年はコロナ禍もあり業界全体の売り上げが落ち込み、当社も例に漏れず数字は落ちたのですがそれでも前期比(2019年比)で4%程度の落ち込みで踏みとどまりました。前期は工作機械販売の好調に牽引されるカタチで、過去最高の売り上げとなりました。昨今の切削加工は急激に5軸へシフトしていますので、工作機械メーカー様や商社様からお声をかけていただく機会がグンと増えました。

貴社では様々な設計ソフトを取り扱われていますが、売れ筋は。

やはりハイパーミルがダントツですね。当社が5軸加工向けシステムのベンダーとして高い評価を受けているという側面もありますが、5軸加工におけるソフト自体のブランド力が高まってきたことも実感しています。

また5軸加工における詳細なマシンシミュレーションを可能にする「VERICUT」の販売も大きく伸びています。多軸加工は複雑な動作をおこないますので、工具やワークの破損、主軸の損傷など様々なトラブルが起こりがちです。こうした事故を未然に防げるソフトとあって、導入するお客様が急増しています。

貴社ユーザーの変化を感じていらっしゃいますか?

以前に比べ、ここ数年は大手のお客様からのニーズが増加していますね。社内の試作や金型部門でも5軸加工への移行を望む声が高まっています。また中小企業でも革新的な取り組みや先端の技術を取り入れようという動きが強まっており、そうしたお客様から導入していただくケースも多数あります。

日本は欧米などに比べて2Dでの設計がまだまだ多いと聞きます。ひと昔前に比べて2Dから3Dへの移行は増えているしょうか。

3Dデータもかなり普及はしてきていると思いますが、10年前に比べて急激にシフトしたわけではなく、いまだに2Dでのやりとりをしているところも少なくない印象です。ただ、3Dを取り入れた企業とそうでない企業では、確実に10年前に比べて差が出てきていると実感しています。

企業の体力差も影響しているのでしょうか。

そうですね。設備投資力のある企業に仕事が集まっているのはひしひしと感じますね。設計ソフトにしても3Dでの設計のほうがより付加価値の高いものが作れますし、また3Dに対応出来ない企業は置いていかれる傾向は今後ますます強まっていくのではないでしょうか。

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5軸向けCAD/CAMhyperMILL

■生産性向上に寄与するソフトも

―3DCAD/CAMに移行したいが二の足を踏んでいるユーザーに対しては、どういったアプローチを。

昨今、発注の上流側から来るデータは大半が3Dです。今後もこの流れが加速していくのは間違いありません。そうした仕事を請け負うために必要不可欠なソフトというカタチでのアプローチになりますね。無論、上流がまだ2Dというところもございますので、そういった現場には2Dにも3Dにも両方対応できますよ、というアプローチになります。

先ほどVERICUT5軸向けに好調と聞きました

かなり以前から販売しているソフトですが、やはりシミュレーションする上で圧倒的なレスポンスの良さと高い信頼性が、5軸ニーズにマッチしているのだと思います。5軸機は自由度が高いですから、しっかりとプログラムを組んでも干渉リスクは排除しきれないという背景もあり、導入が進んでいます。

ハイパーミルとセットで購入されるケースも多いのでしょうか。

直近ではそういったお客様も増えていますが、VERICUTNCデータにてシミュレーションが可能なソフトです。既に使用されている他のCAD/CAMシステムでも使用できるので、ハイパーミルユーザー以外からの引き合いも少なくありません。また複数の異なるメーカーの5軸機をお持ちのお客様でも、当社でそれぞれの機械の構造物をカスタマイズしてセット致しますので、安心して使っていただけると思います。

また今後需要が拡大すると見込んでいるのが、VERICUTの「Force」というソフトです。こちらはCAD/CAMで作られた加工データと、使用する機械や工具などをあらかじめ設定しておくことで、最高の加工条件を導き出せるものです。

ワーク加工でこれまで30時間かかっていたものが半分に短縮された事例もあります。特に大型の金型を製作されているような現場には高い効果がありますので、ぜひ使ってみて頂きたいですね。

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加工を最適化するVERICUTForce

(2022年7月25日号掲載)