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EXOTEC NIHON 取締役社長 立脇 竜 氏

マテハン機器メーカーに聞く「Eコマース」

落ち着いてきたとも耳にするEコマース(EC)向けのマテハン設備投資。実際のところどうなのか、ファーストリテイリング(ユニクロ)やヨドバシカメラなどにも採用され、注目を集めるEXOTEC NIHONの立脇竜取締役社長に話を聞いた。

――国内のEC事業の市況感を教えてください。

コロナ禍に急増したEC需要に対する設備投資の熱は少し落ち着いている。しかし、消費者にECの便利さが広く知れ渡ったこともあり、EC市場自体の需要は底堅くなっている。ここから下振れするとはあまり考えていない。また、ECはコロナ以前から消費者向けのアプリケーションが格段に進歩していた。一方で、実際にものを運ぶ現場の変革は短時間で行えるものではないので、需要に対する供給側の設備不足ギャップはまだまだ多くある。そのため、当社にも引き合いは沢山いただいている。

――先駆けて社会・経済活動を再開した欧米の状況は。

欧米でも同じよう設備投資が追いついてないところはあるが、従来のやり方を見直す動きは日本よりは先行していると感じる。日本は消費者の視点からEC市場を見ると、発注した物が当日や翌日に届いたり、受け取りの時間指定もできるなど、すごく進んでいる。一方で、この仕組みは各企業の人海戦術で何とか維持している状態。欧米は届く時間も遅く、受け取り時間も午前・午後しか指定できないことも多いが、その裏側では自動化等により作業員の労働は少なくなる傾向にあり、システムの観点では欧米の方が進んでいる。

■制御できる機器を拡充

――最新のEC向け物流トレンドは。

欧米ではOMOOnline Merges Offline)やオムニチャネル(リアル・オンライン問わずどの販売チャネルからも同じように購入できる仕組み)の一つであるクリック&コレクトの利用者が増えてきている。注文はオンラインで行って、仕事終わりなどに指定の受け取りセンターで品物を受け取れるというシステム。注文者がセンターに着いたらすぐに荷物が出てこないといけない。Skypodシステムなら、注文が入るとすぐにピッキング作業が行われ、出荷準備が整った状態でシステム内に一旦格納する。注文者がセンターに着いた時にはシステムから迅速に出荷が行われ5分程度で注文者の車に荷物が乗っている状態を作れる。このような形で実際にSkypodシステムがクリック&コレクトの現場で使われ、威力を発揮している。

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Skypath導入で倉庫全体の管理や効率を上げることができるようになる

――国内の動きは。

3PL事業者からSkypodシステムを自社で入れるほどの規模ではないが、取引量がそれなりに多く、ECもやっている複数の企業の荷を一つのシステムに入れてしまって、倉庫容量を柔軟かつ最適化するといったコンセプトのシステムの提案を受けている。3PL事業者による仕組みづくりが必要なため、当社はそれをサポートする形で関わっている。この仕組みは中小EC企業にとっては最適なシステムをコストを抑えて導入でき、当社としてはシステムを大きく入れることができるため、相互にメリットが大きい。一つ実例ができれば拡大していきそうだと感じる。

――今後の取り組みについて教えてください。

倉庫内でものが今どこにあるのかを切れ目なく追うため、Skypodシステムで制御できる範囲を拡大している。欧州で先行して発表しているコンベア「Skypath」もその一つで、日本では2024年に提供開始予定。Skypathを導入すると、荷物がコンベアのどこにあるかをSkypodのシステム上でリアルタイムで追えるとともに、荷物自体をどこにどう流すかもSkypodシステム側で制御することができるため、倉庫全体を一つのシステムとして効率化しやすくなる。また、設置の際にもコンベアの個別PLCプログラミングや設定が不要なので、システム稼働までの期間も格段に早くなる。

他にも、4月にはショールームを東京都新木場にオープンする。ロボット5台ほどとラックを現実の倉庫のように組み合わせた構成なので、実際の動きや速度を使えるシステムとして体感できる施設になる。展示会も4月には関西物流展、9月にはINNOVATION EXPOに出展するので、ぜひ見に来ていただきたい。

(2023年2月25日号掲載)