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オリオン機械 産機営業本部 機器営業部 精密空調機器チームリーダー 樋口 陽一 氏

夏の大敵、湿度対策を換気とともに

太平洋高気圧の影響で日本の夏は多湿だ。熱中症の危険度を判断する暑さ指数(WBGT)は湿度の影響が7割を占め、実は湿度の対処こそ効率的な暑さ対策のカギを握る。また部屋を閉め切りがちな夏こそ、換気にも気を配りたいところだ。オリオン機械の外気処理空調機「フレッシュエコキューブ」は、その両方に対応できる製品。産機営業本部 機器営業部 精密空調機器チームリーダー 樋口陽一氏に特長を聞いた。

快適な低露点空気を安定供給

「温度の高さより湿度が低いことが快適な空気の肝です。例えば湿度70%の室内は温度を22度まで下げないと快適になりませんが、湿度40%では室温24度でも涼しく感じます。フレッシュエコキューブは露点9度まで落とした空気を供給しますので、実際に導入した当社の執務室は心地よく、冷房によるムダな冷やしすぎもなくて業務に集中しやすいですよ」。樋口氏は製品の導入効果を実感を込めて語る。

製品写真.jpg

フレッシュエコキューブ

フレッシュエコキューブは取り込んだ外気を除湿し、快適な低露点空気として室内へ供給する外調機だ。もちろん結露対策としても有効だが、湿度のコントロールと換気を1台で行えることから夏場の不快指数の低減にも威力を発揮する。換気能力も高く、600立方㍍の空間で「AEC600A」は1時間当たり1回、「AEC1200A」は1時間当たり2回空気を入れ替える能力を持つ。窓を開けて高温多湿な空気を取り込む場合と比べてエアコンの負荷も下がり、さらにはCO2濃度も下げられるなど導入メリットは多岐にわたる。

フレッシュエコキューブの特長は顕熱交換器の利点を生かした省エネ性能だ。取り込んだ外気を冷凍機で冷やして除湿するが、そのままだと冷たい空気が室内に入ってしまう。この際に顕熱交換器で冷却後の空気と取り込んだ外気の熱を交換するため、冷凍機とヒータの稼働をどちらも最小限に抑えられる。冬場などは不足する分を補助ヒータで再熱することで年間を通じて適温の空気を室内に供給する仕組みを採用。顕熱交換器のない場合と比べてエネルギー使用量を41%カットでき、さらに全熱交換器と違って熱交換時に空気が混ざらない構造のため空気の品質が落ちることもない。「除湿には我々の主力製品のひとつである冷凍式エアドライヤーに似た仕組みを採用しました」といい、色々な意味でムダのないスマートな製品だ。

■中間期でもしっかり除湿

一般的な外調機はエアコンと同じ冷暖房切替方式のため、夏季と冬季以外の中間期(15~20度)では送風運転のみとなり除湿できない。しかし年間冷房方式のフレッシュエコキューブなら、中間期も夏季と同じく冷凍圧縮機を運転するため除湿運転が可能だ。「独自の冷凍回路の制御によりデフロスト・オイル戻し運転も必要なく、オールシーズンで低湿度の空気を送り込めます」(樋口氏)。温度・湿度のブレが生じず、一年中安定して室内を快適に保てる。コンデンシングユニット一体型で、冷媒配管工事を省ける点も大きな特長だ。

コロナ禍における換気対策としても注目を浴びたフレッシュエコキューブ。現状は湿度が品質や機器に影響を与える製薬や粉体製造、クリーンルーム、医療施設などで好評を博しているというが、ここまで綴ったように蒸し暑い日本では暑気対策としても高いポテンシャルを秘めていそうだ。樋口氏も「暑さ対策にも、カーボンニュートラルにもつながる総合的な製品です」と自信を見せる。

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同社での設置風景

(2023年4月25日号掲載)