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育良精機 工具事業部 廣澤 道夫 副事業部長

現場の声を反映したモノづくり

――近頃の市況感を教えてください。

コロナ禍で止まっていた建築向け需要が感染対策の緩和に伴って活発になってきています。首都圏や大阪だけでなく、札幌、九州など全国的に都市開発が実施・計画されており、実際にインフラ向けの工事が増えてきています。その流れがホテルやオフィスなど物件モノへと変わっていくと、さらに伸びていくと考えています。

――特に伸びている製品分野はありますか。

パワーツールに関しては圧倒的にコードレス関連製品。従来よりもバッテリー容量が増え、モーターも強力になってきているので、コードレスで十分という場面も多いです。当社ではライトボーラーとパンチャーがコードレスタイプの主力ですが、パンチャーでは圧倒的にコードレスが求められていますし、ライトボーラーに関してもコードレスでの作業効率アップが認知され始めかなり伸びてきています。

――建築現場でコードレス製品が求められる理由は。

電源を確保しなくてよいことや、電圧降下が起きないことなど、コードレスであるメリットが周知されつつあります。ビルの鉄骨に穴をあけるライトボーラーは、基本的に工場で穴を開けて、現場で組むことが多いため、電源を確保しやすい工場では100Vタイプが主流です。しかし、建物の修繕や改修、増設工事の増加とともに、現場で穴を開ける必要も多くなってきています。穴あけ作業のためだけに電源を確保するのは大変ですし、新築と違って組みあがってしまっている構造物へ穴を開けるために、取り回しのいいコードレスタイプが求められています。

――貴社製品の特長は。

コードレス化だけでなく、ユーザーが実際に現場で使う際のストレスフリーな作業性を追求しています。例えば、ライトボーラーでは刃物の交換が工具レスででき、穴あけ時に刃物のセンターを合わせる際、LEDを照射することで暗い場所でもセンターが見やすいなど、ユーザーの要望を反映した製品づくりを心掛けています。

――現場の声を反映する製品づくりで心掛けていることを教えてください。

当社営業マンが販売店様とユーザー様へ同行した際に、実演機で体感していただき使用感を聞いたり、展示会などでユーザー様と直接会話ができる機会を増やすことで、求められている製品やユーザーの要望を集め、その情報からの製品づくりを重視しています。

――営業マンも開発の視点がないと難しそうですね。

それが逆なんです。開発のことを変に理解してしまうと、これは作れるとか作れないとかの判断を入れてしまう。そうすると正確な情報を上げられなくなってしまいます。作れる、作れないではなく、ユーザーのお困り事を聞いてきて、それを開発部につなげることが大切。あくまで、実際に使うユーザーの生の声を大切にしたいと思っています。

――パワーツールで新たに出る製品や今後の方向性を教えてください。

よりパワーを追求していく方向としては、近日中に、従来のアングル加工機(アングルコンポ)よりもパワーアップさせたモデルを100Vタイプと36Vコードレスタイプを同時発売する予定です。今後の開発に向けては小型化や疲れにくい形の追求などもしっかりと考えていきたいと思います。

(2023年4月25日号掲載)