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TONE 執行役員 営業本部 営業業務部 部長 高橋 裕和 氏

拡大する無線ナットランナー需要

――近頃の景況感について教えてください。

建築向け需要が増加しています。鉄骨のボルト締結に使われるコードレスシヤーレンチは昨年度、一昨年度に比べて大幅な伸び率となっています。鉄骨のボルト締結には基本仮締め機と本締め機が必要ですが、両方をコードレス化しているのが当社の強み。現場での発電機不要、電圧降下の影響なし、取り回しの良さなど、コードレスの利点と相まって需要が立ち上がっています。

シヤーレンチが建築向けであるのに対し、コードレスナットランナーの需要は多種多様です。最近特にニーズが増えているのが、大型トラックのタイヤ交換。加えて、送電鉄塔などの公共インフラの修復、建機のメンテナンスなどです。手工具やエアー工具、油圧工具などを使うのが一般的であった場面で、コードレスナットランナーの提案は大きな評価を得ています。環境配慮や労働環境の改善、省力化などの市場の意識の高まりも需要拡大の要因となっています。

――特に伸びているトラックのタイヤ交換でコードレスが求められる理由は。

従来、大型トラックのタイヤ交換には多くの場合エアー工具や1㍍を超える大型のトルクレンチなどが使われてきました。エアー工具は配管やコンプレッサなどの設備をそろえる必要があり、大型のトルクレンチは作業性が悪く作業の効率化が求められています。またコードレスであれば持ち運びも便利で出張先でのタイヤ交換、整備も楽に対応できます。

――コードレスナットランナーはどのように提案していますか。

値段も決して安くはなく、誰でも知っている工具ではないので、現場になるべく多く足を運んで、実際に使ってもらうことを重視しています。社内では使用される業界や作業環境などのマーケット情報を共有し提案の横展開を強化しています。間違いなく喜んでいただける製品なので、どれだけ需要がありそうな現場を探し出せるかが肝になってきます。

――様々な分野で活躍するコードレスナットランナーの強みを教えてください。

電源不要で作業性向上は当然ながら、作動時の騒音や振動が少なく、コンパクトかつ高トルクのボルト締結や高い精度でトルク制御ができる点が最大の強みです。当社はボルティング・ソリューション・カンパニー(ボルト締結の課題解決を目指す企業)を掲げ、世界中の大型ボルト締結に関わる様々なお困りごと解消を目指しています。手工具からエアー工具、倍力工具、電動工具など幅広いツールを展開する流れをコードレスナットランナーにも広げています。さらに、既存製品で対応できない特殊なボルトや締付け環境に悩まれているユーザー様には、課題解決に資するカスタムオーダーを用意しています。

――今後の方向性を教えてください。

ナットランナーに関しては使用可能トルク範囲の拡大や作業性・トルク管理機能等の充実等引き続きラインナップ充実を進めます。またナットランナーに限らず、手工具やエアーツールなどでも電動コードレス化が可能な製品はコードレス化を進めます。

まだまだコードレスナットランナーの製品に対する認知度は低く、こんな便利な製品があったのかという声をよく耳にします。チラシを撒けばどんどん売れる製品ではないため、とにかく販売店様とユーザー様情報を共有しながら現場に足を運ぶ営業活動にさらに力を入れていきます。

2023425日号掲載)