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フクハラ 代表取締役社長 福原 廣 氏

エネルギー暴騰時代のクリーンエア供給

創業から半世紀以上に渡り、「ドレン抜きの総合コンサルタント」として、コンプレッサードレンの自動排水装置(ドレントラップ)、メカニカルシールからの液漏れを検知する装置(リークアラーム)、スクリューコンプレッサーのオイルタンク内の水を自動排水する装置(スクリューオイルトラップ)、圧縮空気中の菌の存在を発見し除菌フィルターの開発・販売においてひときわ存在感を放つフクハラ。近年の環境機運の高まりもあって、さらなる環境対応機器の開発に強い意欲を見せている。

――エネルギー価格が暴騰する中、あらためて貴社のオイルミスト吸着補足装置「オイル・バスター」に注目が集まっています。

「資源エネルギー庁のデータによりますと、平成29年度の日本における総発電量は約9133億㌔ワット。一方、稼働中のコンプレッサーの総消費電力量は約457億㌔ワットと言われており、総発電量の5%に相当します。このコンプレッサー総消費電力を10%でも下げれば46億㌔ワットの節電になります。これは高知県の総消費電力(約50億㌔ワット)に相当します」

――貴社のオイル・バスターによる省エネ効果を教えて下さい。

37㌔ワットコンプレッサーの場合、一般的にオイルフリー方式のものより給油式のほうが吐出空気量が約2割多いのです。当社のオイル・バスターは給油式のコンプレッサーに取り付けるだけでオイルフリー方式と同等の圧縮空気を得られますので、非常に省エネ効果が高いのです。直近の電力価格で比較しても、給油式は年間の電気代がオイルフリー方式より約100万円安くなります」

――現在の電力供給はCO2排出量の多い火力発電がメインとなっているだけに、間接的なCO2削減にも寄与しますね。昨今の需要についてもお聞かせ願えますか。

「省エネはもちろんですが、当社のオイル・バスターはドイツの国際的第三者認証機関テュフラインランドにおいて圧縮空気中のオイル等級を計測し、出口油分濃度においてクラス0のシステム認証を取得しております。これは、オイルフリーコンプレッサーと同等以上の圧縮空気であることを示しています。昨今では半導体製造装置関連や光学機器、三次元測定機といった精密機器から食品加工のエアーラインまで幅広い受注を頂いています」

■容量拡大した新モデルを投入

――各社から販売されているミストフィルターとの併用でさらに効果は上がるのでしょうか。

「オイルミストにお困りのお客様の現場では、大量にミストフィルターを連結して装着されていましたが、なかなか思ったようなオイルミスト無しのクリーンエアを得られず苦労されていました。これは、市販のミストフィルターでは『オイル蒸気が取れない』からであり、試行錯誤のうえ、オイル・バスターの採用によりミストフィルター無しが実現できました。当社のオイル・バスターならより簡単、確実にオイルミスト問題を改善できます」

――先日は従来のオイル・バスター2000Lモデルに加えて、大容量の3000Lモデルもラインナップに加わりました。

「以前より、小型で処理量が多いモデルの要望がありましたので、3000Lモデルを開発、追加しました。この3000Lモデルにつきましても、テュフラインランドにおいて圧縮空気中のオイル等級を計測し、出口油分濃度においてクラス0のシステム認証を取得しております。」

――今春、ドレン水処理に確かな実績を持つ「ドレンデストロイヤー」のニックネームが変わり「ドレンデストロイヤーCO2」になりました。

「大気中のCO2は圧縮空気やドレンを介して、ドレンデストロイヤーに内蔵されている油水分離材に吸着されていることが分かり、さらに多くの量が吸着できるよう改良しました。つまり従来と同じドレン処理システムで、ドレン清水化処理とドレンに含まれているCO2を吸着、回収することも可能です」

――ドレンの清水化と脱炭素が同時に行えるわけですね。

「ドレン中のCO2は圧縮空気や空気より数倍ほど濃度が高い場合があり、ドレンの清水化とドレン中に溶解しているCO2の吸着、回収もできるため、効率的かつ経済的です。当社も微力ながら、地球温暖化の抑止を進めていきたいと考えています」

オイルバスター.jpg

オイル・バスター2000L(左)と新製品の3000

マイカーで温暖化防止に寄与


ゴルフでエージシュートを2度記録する腕前を持つ福原社長の愛車はトヨタ「MIRAI」。「水素ステーションはまだまだ少ないですが、一度チャージすれば東京大阪間の移動も可能ですから、不便には感じていません」。また福原社長はガソリンスタンドに水素発電機と水素ガスタンクを設置する「スーパー水素ステーション」のビジネスプランを温めている。「水素による発電と売電は、減少しつつあるガソリンスタンドにとって大きな利益となりますし、FCV普及にもお役に立てます」