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レクサス 代表取締役社長 橋本 憲明 氏

顧客の成果の創造に貢献する、モータスピンドルの提案・提供を使命とする

その性能が加工設備の付加価値向上に直結するスピンドル。モータスピンドルメーカーのレクサスは22年間、顧客が求めるサイズ(胴径及び全長)や重量で求める性能や機能に応え、加工設備の付加価値向上に寄与してきた。最大出力50㍗の小型から20㌔ワットの大型、φ16からφ350までと広い範囲で百種類以上ものモータスピンドルを、顧客との「徹底した打ち合わせ」で作り込んだ豊富な開発実績が強みだ。ニッチな要望に、ぴたりと合わせる柔軟な提案力について橋本憲明社長に聞いた。

――足元の受注環境は。

「とても好調です。自動車関連はもとより、航空機や液晶板ガラス、専用・工作機械、特にロボット装着の開発案件が大幅に伸びています」

――様々な分野で好調の理由は。

「既存モータスピンドルに比し、小型・軽量化という大きなニーズを我々は捉えられています。例えば、車重を軽くするために部品などの加工対象物が小型・薄肉化し、スピンドルもより小さく、より軽く、より速く、といったニーズが増えています。しかしながらモータスピンドルの小型・軽量化は発熱リスクが高まり、使用する軸受も限られてきます。実加工負荷やサイクルタイムを考慮し、お客様が求める性能と軸受寿命のバランスを両立しなければなりません。モータスピンドルの冷却は、モータ部は勿論ですが、いかに軸受を冷却するか。当社では軸心冷却、つまり軸受の内輪を効果的に冷やす構造を独自技術で得ています」

「ロボット装着の案件はバリ取りや面取り用途として国内中心で増えています。性能は落とさずに既存製品より小さく軽くする、我々はその点で優位性と独自性を持っています。スピンドルが軽くなれば可搬重量にも影響し、コスト抑制と精度向上にも繋がります。設備全体のコンパクト化にも大きく寄与します」

――小型・軽量化ニーズに応える製品づくりをされています。

「『差別化』『区分化』『専門化』が進捗し、より細分化されるニーズや市場に応える体制を構築しています。設立から22年で手掛けてきたスピンドルは百種類超。最大出力50㍗から20㌔ワット製品までの広範囲をカバーするのは業界でも希少だと思います」

「お客様の要望を丹念に聞き、数値と文書に落とし込みます。そしてこれまでの製品で最も近い製品仕様に当てはめ、一部カスタムという形でご提案します。過去使った治具や金型といった資産をフル活用します。開発期間が短く済むだけでなく、ベースに実績があるので安心材料にも。そしてコストも大切ですが、最もお客様が求めているのはどれだけ早く作れるか。通常だと半年を超える開発期間も、我々は約3カ月以内で創り出せます」

■他社がカバーしない領域をカバー

――いま最も売りたい製品は。

「胴径35㍉のクーラントスルー『DL35CT』とATC(オートツールチェンジ)『DL36ATC』と『22/37/55/75㌔㍗モータスピンドル』です。いずれも当社にしかない世界最小・最軽量クラスです。小径深穴の加工に適したクーラントスルーは切削効率化だけでなく切粉排出・刃具寿命延伸の要望が多いです。そして加工対象物が小型・薄肉化する中、コンパクトな設備で加工したいと小型・軽量スピンドルの需要があります。寄せられる声で最も多いのは『出来るだけ小さく軽く作ってほしい』というもの。対応するメーカーは多くなく、大手がカバーしきれないニッチなビジネスをカバーするのが当社の存在価値であり存在意義だと考えています」

――ニッチにしっかり対応していくと。

「実はここ15年ほどは積極的な営業活動は全くしていませんが、多くの『差別化』『区分化』『専門化』案件が舞い込みます。掌に乗るような小さなスピンドルから1本あたり300㌔を超える大型まで幅広く創り出してきました。当初からそれを目指していたのではなく、お客様のお困りごとに応えていくうちに開発実績が広がった。それが当社の強みに繋がっています。他社製品に対して優位性を確保したい、差別化を図りたい、標準品では物足りない、自社のオリジナルを作りたい。粛々とお客様のお困りごとに対応してきた結果です」

「標準品には標準品の価値がありますが、今後、『差別化』『区分化』『専門化』が重視されていく中で、重要部品であるスピンドルのオリジナル性はますます求められていきます。そして私が実感しているのはニッチそのものが増大していること。そこに対応するためにいかに差別化、区分化を図るのか、専門化に徹するかを大切にしています」

――自社サプライチェーンもオープンな姿勢をとられています。

「はい。お客様の不安と怖れを解消したいのです。どのサプライヤーと取引しているか、必要であればご説明します。初依頼のお客様には不安や怖れがあるはず。最初の一歩を踏み出していただくために、必要であればきちんとお示してお客様の不安と怖れを解消し要望をすくい出す。潜在的なお客様は今のお客様よりずっと多いですから。22年やってきてこの姿勢が当社の立ち位置からするとベストだと判断しています。今後は価格面でも更なる競争力をつけるため、国内外の供給網強化・開拓にも力を入れていきます」

レクサス様製品写真.jpg

「世界最小・最軽量クラス」というクーラントスルー・モータスピンドルDL35CT-400

WEB強化で新規顧客の背中押す

15年間、営業活動ナシで受注獲得」を成しえたのは自社HPを通して新規案件がコンスタントに入るからだという。「ご相談いただく時点で当社のことは調べ尽くされている」としており、新規顧客が抱く疑問や不安を解消しよりスピーディに商談に入れるよう革新的なリニューアルを予定している。

2024325日号掲載)