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ダイヘン 取締役専務執行役員 森本 慶樹 氏

新たな接合技術で脱炭素化提案
旺盛な自動化需要にも対応

2023年度が中期経営計画の最終年となるダイヘン。「ならでは製品開発」を掲げ、独自の製品価値創出に取り組み、溶接・FA分野におけるエポックメイキングな製品を次々と上市し、着実に歩を進めてきた。同社・森本慶樹専務に昨年の需要動向と次年度の見通しについて聞いた。

――昨年の国内需要動向についてお聞かせください。

「国内の溶接部門はなんとか前年度比10%増で着地することができそうです。鉄骨業界は良かったですね。また造船関連も受注が上がってきていますが、資源コストの上昇が足かせになっているところは否めません。FA部門は自動車関連Tier1の大口受注を確保できた影響で、対前年比で大幅に増加しましたが、小口は低調でした」

――アジア圏の需要動向はいかがでしょう。

「溶接部門は国内以上に良かったですね。中国で造船向けの大口受注があったほか、タイなどでも堅調に推移しました。FA部門は中国の売上比重が大きいのですが、ロックダウンや自動車生産減少の影響を受けました。EV関連の設備投資意欲は旺盛でだいぶ盛り返しましたが、前年比マイナスの着地になりそうです」

――欧米での需要は。

「欧米は人手不足による大幅な賃金上昇などを背景に、自動化ニーズはますます高まっている印象です。こちらは前年比5%程度のプラスを見込んでいます」

――溶接部門の売上に寄与した製品についてお聞かせください。

「デジタルエアープラズマ切断機『DCT35/60』が好調でした。溶接ではTIGMINIが良く売れましたし、Welbeeも堅調でした。また昨年発売した『シンクロフィードエボリューション』はアルミやハイテン材といった難しい接合に対応できる点や、仕上がり面の美しさが高い評価を頂いています」

――FA部門はどういった製品が好調でしたか。

「搬送台車やタブレットによるロボット教示システムは、引き合いが増えるとともに販売に結びついています」

――昨年は久しぶりに展示会も開催されました。

「展示会については考えていた以上に効果がありました。ウェルディングショーは前回に比べ来客数14倍、引き合い件数は25倍と、熱心なお客様に多数お越し頂き、改めてリアルの持つ重要性を感じています。」

――2023年度が中期経営計画の最終年となります。

FA部門はラインナップをさらに拡充させるとともに、SIerとのさらなる連携も模索していきます。溶接は難接合素材の安定接合と大幅な省エネを両立する次世代接合システム『Cold Spot Joining』のセールス拡大や、サイリスタ制御からインバータ制御への置き換えなど、脱炭素化を推進していきたいです」

――自社の自動化、DX化にも積極的ですね。

「当社の生産工場は現在、80%の工程を自動化しています。残りの20%、配線の自動化や検査工程においても自動化し、100%自動化を実現したいですね」

ダイヘンシンクロ.jpg

難接合に対応する「シンクロフィードエボリューション」

2023110日号掲載)