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経産省と三菱地所、オフィス街にもロボット

自動化しやすい環境づくり

 スマートフォンで注文したお寿司をビルの上階まで届けてくれる。と聞けば今どき何ら珍しいことではない。だが、配送ロボットが単独で歩道を通ってビルに入り、エレベーターに乗って目的のフロアで降りて届けると聞けばどうだろう。エレベーターの乗り降りはボタンを押す代わりに通信で指示する。そんなことが可能になりつつある。
 この実証試験は125日、東京・大手町のオフィスビルで経済産業省と三菱地所が披露した。両者はロボット活用のユースケース創出や人手不足の課題解決に向け、ロボットが稼働しやすい施設内環境「ロボットフレンドリーな環境」づくりを進めてきた。冒頭のようなロボットによる荷物の配達や複数階にまたがるフロアの清掃といったことが広がりそうだ。
 施設内でロボットが建物外部から建物内部・エレベーター・室内へ移動(縦・横の移動)をするにはエレベーターやセキュリティドアとの連動が必要になる。ところがロボットもエレベーターもメーカーごとにプログラムの規格が異なる。個別に対応しようとすると時間もコストもかかる。そこで経産省はロボットメーカーとユーザーを集めてロボフレ環境を実現するための予算事業「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」を推進。通信連携の規格化などを進めてきた(エレベーターとの通信規格については昨年6月に公表。必要な改正を今年実施した後、国際標準化を狙う)。今回の発表はその成果の1つだ。
 三菱地所はグループが所有・管理・運営するオフィスや商業ビル、ホテル、物流施設などに約100台の警備・清掃・運搬などのロボットを活用している。「パンデミックにより非対面・非接触のニーズが急速に高まるなど、ロボットだからこそできる業務が拡大している」(太田清DX推進部長)とし、本事業に参画した。

■成果に期待、小売・盛付・物流でも

 経産省によるこうした成果は今後、続々と出てきそうだ。スーパーやコンビニといった小売分野では決済・在庫管理・陳列をどう自動化するかがテーマとなっている。商品点数が極めて多く、新商品が続々と入ってくる売場だからだ。経産省は「陳列作業を11個プログラミングしてロボットに掴ませようとするとコストが合わない。なのであらかじめ商品という情報の中に2D3D画像、ロボットが掴むのに必要な把持情報を共有できるようデータベースを用意しておけば、ロボット導入後に速やかに動かせる」(ロボット政策室の福澤秀典室長補佐)と考える。
 弁当の盛付け工程の自動化については弁当の形を変更し、盛付けしやすいモノに変えて自動化ラインづくりを進めている。昨年取り組み始めたばかりの物流倉庫の自動化については、様々なシステムとの連携と荷姿の標準化をテーマに据えた。パレタイジング・デパレタイジングしやすい荷姿にしていくという。

2022225日号掲載)