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BtoBからはじめる 脱炭素社会への貢献

エネルギー暴騰時代の省エネ補助金活用

突発的なエネルギー価格高騰への対応力強化や、カーボンニュートラル実現の観点から、省エネの重要性がより一層高まる中、政府は1129日、令和5年度補正予算に企業向け・家庭向けの省エネ支援策の強化を盛り込んだ。企業向けには、工場等における省エネ設備への更新に対する支援を大幅に拡充するとともに、専門家による省エネ診断に対する支援も強化する。


政府が令和5年度の補正予算に盛り込んだ省エネ補助金は、複数年の投資計画に切れ目なく対応する仕組みを適用し、予算規模は、今後3年間で7000億円規模へと拡充させる見込みだ。さらに脱炭素につながる電化・燃料転換を促進する補助金を新設し、中小企業の省エネ、カーボンニュートラルにも繋げていく構えだ。

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省エネ補助金の類型は4つに分かれる。

「工場・事業所型」は生産ラインの入れ替えや集約など、工場・事業所全体で大幅な省エネを図るものが補助対象となる。工場・事業場全体で、機械設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備、先進型設備等の導入を支援する。

省エネ効果の要件は(1)省エネ率+非化石割合増加率=10%以上(先進要件30%以上)(2)省エネ量+非化石使用量=700㌔リットル以上(先進要件1000㌔リットル以上)(3)エネルギー消費原単位改善=7%以上(先進要件15%以上)としている。

補助対象となる経費は設備費、設計費、工事費。補助率は中小企業が2分の1以内(先進要件を満たす場合は3分の2以内)、大企業が3分の1以内(先進要件を満たす場合は2分の1以内)となっている。補助金限度額の上限は年度あたり15億円(非化石転換は年度あたり20億円)、下限は100万円。

「電化・脱炭素燃転型」は主に中小企業の活用を念頭に、脱炭素に繋がる電化や燃料転換を伴う設備更新が補助対象。化石燃料から電機への転換やより低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入を支援する。対象設備は(1)産業用ヒートポンプ (2)業務用ヒートポンプ (3)低炭素工業炉 (4)高効率コージェネレーション (5)高性能ボイラとなる、省エネ効果の要件は電化・脱炭素目的の燃料転換を伴うこと(ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみ)としている。補助対象は設備費のみとなり補助率は2分の1以内。補助金限度額の上限は年度あたり3億円(電化の場合は5億円)。下限は30万円。

「設備単位型」はより中小企業が使いやすいよう、リストから選択する機器への更新を補助する。こちらはあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した指定設備の導入が補助される。補助対象は設備費のみとなり、補助率は3分の1以内となる。補助金限度額の上限は1億円。下限は30万円。

上に加え「エネルギー需要最適化型」があり、こちらは各型との組合せ、または単体での使用が可能となっている。

■事業所向けの補助を拡充

さらに環境省、経済産業省、国土交通省の3省連携で「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」を実施、こちらは既存業務用施設の脱炭素化を早期実現に向け、外皮の高断熱化及び高効率空調機器等の導入を支援するもの。

内容は既存建築物の外皮の高断熱化及び高効率空調機器等の導入を促進する設備補助となる。主な要件は改修後の外皮性能BPI10以下となっていること及び一次エネルギー消費量が省エネルギー基準から用途に応じて30%または40%程度以上削減されること(ホテル・病院・百貨店・飲食店等=30%、事務所・学校等=40%)、BEMSによるエネルギー管理を行うことも含まれる

主な対象設備は断熱窓、断熱材、高効率空調機器、高効率照明となる(設備によりトップランナー制度目標水準値を超えるもの等、一定の基準を満たすものを対象とする)。改修内容に応じて定額又は補助率23分の1相当が補助される。

また「具体的に何をやればよいか分からない」との中小企業の声も多いことから、専門家による「省エネ診断」への支援も強化する。こちらは省エネの専門家が中小企業を訪ね、エネルギー使用の改善をアドバイス。省エネ診断を受けた場合は、省エネ補助金の加点措置を行っており、診断から設備支援まで、一体としたバックアップを行うとしている。

(2023年12月10日号掲載)