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けんかっ早いけど人が好き Vol.58

大きなキーホルダー

今や、クルマのキーといえばスマートキーが主流である。ドアに鍵穴はなく、キーを持った人がドアハンドルをつかもうとするだけで、いや、クルマによっては近づくだけで、ロックを開けてくれる。おかげで、キーでボディをつついて塗装を点々とはがすこともなくなった。あの点々ハゲの悲しさったらなかったので、開発者には感謝しかない。

キーホルダーは、かわいいものに限る。

ただ、スマートキーはボタン電池を入れて使うため、電池が切れる。なんか最近、調子悪いけれど、ま、いっかと放置していたら、いきなりうんともすんとも言わなくなって肝を冷やしたこともある。家の車庫でよかった。そして、あまり使っていないスペアキーもおなじタイミングで電池切れを起こすという謎のシンクロは本当にやめてほしい。

スマートキーは事故時にも利点がある。今や、スタートボタンでエンジンをかけるようになったが、これまでは鍵を差し込んでいた。その場所は、前面衝突時に膝がぶつかるところで、ぱっくり膝が割れることがあるらしい。ゆえに今はなきスウェーデンの自動車メーカー、サーブは、エンジン始動の鍵穴をセンターコンソールに設けていたほどだ。

カバンの中に入れっぱなしでコト足りるスマートキー。これにより、なにが実現したかというと自由なキーホルダー選びである。先日、私の愛車であるジープに合わせ、ジープ・ベアのついたキーホルダーをもらった。大人のにぎりこぶしほどある大きさの、もふもふとかわいらしいやつである。きゅん(私のハートがときめく音)。運転するときにセンターコンソールの小物入れにちょこんと座らせてみたのだが、これがかわいいのなんの! 差し込むタイプのキーなら足のあたりで邪魔になって仕方ないが、スマートキーならこんな楽しみ方もできる。ありがたい話だ。しかし、出先でクルマをとめ、いざ、カバンに入れようとしたところ入らない。そう、ジープ・ベアは大きすぎたのだ。ジープ・ベアをはずさなければならないのか? 一瞬、悩んだものの、答えは簡単に出た。カバンを大きくすればいいんじゃん!

ただでさえ、必要なものもそうでないものも入っていてドラえもんのポケットと呼ばれている私のバッグは、さらに大きくなった。ええ、もう、行くとこまで行きますよ。

20231010日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『法律がわかる! 桃太郎こども裁判』(講談社)