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ファザーマシン2/Chapter17

旋盤工から「マシニスト」へ

みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。

今回は、「はじめてのマシニング編」をお送りします。 入社して数カ月が経った頃、CAD/CAMのトレーニングを終えた私は、マシニストになるべくマシニングセンタのOJT(職場内訓練)を受けることになりました。

「精度よく」製缶加工するのは難しい!

正確にはマシニングセンタを触るのは、今回が初めてではなく訓練校時代に何度か触りました。当時はNC工作機械に関する苦手意識が強く、段取りはおろかプログラムすらまともに作れませんでした。

私がやったことと言えば、先生が作成したプログラムで、サイコロを作ったくらいです。基礎も何も理解していませんし、覚えてもいませんでした。特にずっと旋盤をやっていたせいか、NC旋盤でのF(送り速度)がF02などに対し、マシニングセンタではF500などになります。この数値の差を理解するのに苦労しました。

最初に担当した機械は、社内で最も古いオークマさんの50番機でした。NC機は普通旋盤と違い自分自身が作業しなくても、自動で加工が進むので、慣れてくると帰り際にポチして帰るということもやっていました。

プレートの穴あけやブロックの削り出しといった、マシニングセンタ特有の仕事を、失敗を重ねつつも少しずつ習得していく過程は、自身の成長を感じられました。

■製缶は「段取り9割」?

しかし、マシニングセンタの仕事は単純にクランプできるモノや、バイスで掴めるモノだけではありません。

「製缶」という言葉を聞いたことがありますか? 製缶とはプレートやパイプなどが溶接された構造体です。例えばL字のブロックの高精度なモノを製作したい場合、通常は大きな四角いブロック材から削り出すことになりますが、製缶を使うと材料はプレート2枚とリブのみで済みます。

ブロック材を買うよりも安く済みますし、除去量も少ないので、コストを抑えて精度を出すことができます。というように良いこと尽くしですが、ここで大きな落とし穴があります。

『製缶を加工するのが難しい

いや、正確には「製缶を精度よく加工するのが難しい」ですね。ブロック材と比べてワークに強度もありませんし、保持するところも限られています。なので、人によっては製缶加工のことを「加工1割、段取り9割」なんて言う人もいるとかいないとか

加工の負荷でワークが動いたり、平面度0.05指示なのにめちゃくちゃ面がビビったり、基準面を引き忘れただけで不良になったり、正直大っ嫌いな仕事でした(笑)。

ちなみにケロさんはめちゃくちゃ上手でしたね! 先輩方も追い抜かして、製缶加工でケロさんの右に出る人はいませんでした。

というようにマシニングセンタの仕事だけでもいろいろあって、一部開発系の仕事も携わるようになったり、TVに出たり、例の彼女(現在の妻)と結婚したり、子供が産まれたりと、公私ともに順風満帆かに思えましたが、そこには、何か物足りない、満たされない気持ちがありました。

次回は、なんとか重工始動編です。お楽しみに~!

2024210日号掲載)

工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ
工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は12.2万人(2024年2月8日現在)