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けんかっ早いけど人が好き Vol.67

LINE騒動

つい先日、LINEアプリが開かなくなった。スマホを握りしめたまま、呆然と立ち尽くす。なんたって、LINEでしかつながっていない人がたくさんいるのだ。LINEが使えないということは、彼らの連絡先をぜんぶ失うということである。昔は友人の住所と家の電話番号は知っていてあたりまえだった。そのうちメアドと携帯番号になり、いまやSNSだけという人も多い。特にLINEは高齢者にも(!)使いやすく、ユーザーは40代以上がほとんどだそうだ。若い人は、インスタグラムを使うのね、そうなのね。

この画面のまま固まるという恐ろしい出来事が

いや、LINEだ。なんとかしなければ。私のアイフォンは化石ともいわれる7シリーズ(今は15)。そのせいなのか。慌ててアップルのサイトを確認するもののサイト上に答えは見つからず、チャット相談を申し込む。ところが、対応はすべてAIで、子どもの使いのような回答ぶりにきれそうになる。早々にあきらめてLINEのサイトに向かう。同様にチャットにたどりつくのだが、こちらもAIによる対応で質問に対する回答のかみ合わなさ加減はスマホを壁にたたきつけたいくらいだ。

だめだ。オフィシャルサイトは使い物にならない。こういうときに頼れるのは善意のユーザーによる情報提供である。検索するとLINEのトラブルはX(旧ツイッター)で発信しているとある。さっそくXのサイトに行くものの、ここでも「Xユーザーになってログインしないと見せないよ」と、Xのバリアに阻止されるではないか。きーっ!

なんとしてでもLINEアプリを回復させなければ、私の少ない友人関係が途絶えてしまう。涙目になりながら身もだえしていると、善意のユーザーさまの一人がご自身のサイトにLINEトラブルを貼り付けているではないか。それによると、LINE自体に不具合があり対応中だという。つまり、私のスマホが悪いのではないというわけだ。じたばたして損した。時間返せ。

翌朝、LINEの不具合はけろっと直った。昨夜の狂騒曲はなんだったのか。そして今回も学んだ。こういうときに頼れるのはAIではなく人間さまだということを。自身の知識を活かし、助けとなる情報を無償で提供する血の通った人間のこうしたやさしさこそが、世界を救うのである。

2024225日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『法律がわかる! 桃太郎こども裁判』(講談社)