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ファザーマシン2/Chapter3

初めての独り暮らしと機械加工

みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。今回は、私が通っていた神戸高等技術専門学院という職業訓練校について書いていきます。

職業訓練校時代に制作したワーク

さっそくですが、「職業訓練校」と聞いてどんなイメージを持ちますか? ただの地味な技能習得の場所?  それとも高度な技能を学べるキラキラした場所? 多くの方が詳しくご存じないと思いますので、まずは職業訓練校について簡単に説明させていただきます!

職業訓練校は、特定の職業スキルを学ぶことができる公営の教育機関です。同様の目的を持つ教育機関としてはポリテクセンターがよく知られていますが、個人的には、職業訓練校は未経験者向けで基本をじっくり学べます。一方、ポリテクセンターは経験者向けで、短期間で専門知識を深められるという印象です。

私が選んだコースは、機械加工技術コース(現在はCAD/CAM加工コース)で、他にもプログラミング、板金溶接、電子制御、調理、インテリアリフォーム、介護など、学校によって多種多様なコースが設けられています。

訓練期間は半年から1年、2年と、各コースにより異なり、機械加工技術コースは1年課程でした。最大の特徴は何と言っても授業料が「無償」な点です。旋盤やマシニング、CAD/CAMなどの高価な設備を使って学べる一年間の授業料が全て無償! 

さらに、失業保険を貰いながら学ぶことも可能で、まさに至れり尽くせりの教育機関と言えます。ちなみに私は、高校卒業後すぐに入学したため、失業保険は貰えませんでした(当たり前)。

機械加工技術コースの最大の目標は、国家資格である普通旋盤作業3級の取得と、普通旋盤作業2級程度のスキルを身につけることです。なぜ「2級程度のスキル」なのかと言うと、2級の試験を受けるには2年の実務経験が必要で、課程内では試験を受ける資格がないからです。

ただ、3級だけでは即戦力として見られないため、この学校では校内検定により2級レベルまでの技能習得を目指します。また、自由研削砥石の特別教育の資格も取得できます。

■様々な年齢層が集まる学校

というわけで、高校を卒業した直後に一人暮らしを始めたのですが、見知らぬ土地での生活は、期待と不安が混ざり合ったものでした。授業は大学のような選択制ではなく、基本的には月曜日から金曜日、1限から6限まで全ての授業を受ける必要があります。

そのため、「あ、今日は2限からだ」みたいな大学生らしい授業の受け方はできません。年齢層は私のように高校を卒業してすぐに入学する人から、会社を退職した後に新しい技能を学びに来る人まで様々で、18歳から60歳以上の人まで年度によってバラバラです。機械加工技術コースは知名度が低いせいかあまり人気のあるコースではないようです(泣)。 

授業は学科と実技の2つに分かれており、体育の授業もありました。学科の授業では、材料力学や機械製図、そしてパソコンを使ったCAD/CAMの授業などが行われ、それぞれが、機械工学の基礎を形成する重要な知識を学ぶことができるのですが、学科の授業は毎日眠気との戦いでした。

一方、実技の授業では、旋盤を使った実際の加工作業が本当に楽しかったです。一人一人に割り当てられた本物の工作機械。重い部品が高速で回転する恐怖を間近で感じ恐怖しました。また、年齢の異なるクラスでうまくやっていけるかどうかの不安もありました。

しかし、そこで2人の恩師と2人の友人に出会い、私の製造業人生は大きく変わり始めます。

2023710日号掲載)

工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ
工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は11.4万人(2023年6月7日現在)