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ファザーマシン2/Chapter7

リストラ回避のち、相方現る!

みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。

当時の会社で作っていたボルト

今回は、新社会人編の続きをお送りします!

入社して半年が経ち、仕事にも慣れてきた頃。いつもなら朝のラジオ体操をしてから仕事が始まるのですが、この日は違いました。副社長から昨晩、社長が亡くなったことを聞かされ、会社全体が重い空気に包まれました。

社長は高齢で、私たちの入社2カ月後くらいに体調を崩して入院されましたが、その中でも私たち新人のことを気にかけてくれていたそうです。

社長の見送りが終わっても、社内はすぐには落ち着きませんでした。理由は新しい社長が就任し、会社が大きく変わるという噂が流れていたからです。結果、大規模なリストラが行われ、56人が会社を去りました。

私とKくんは腕と伸びしろが認められ、奇跡的に回避しましたが、この大規模なリストラは社長が変わっただけではない理由がありました。このお話は2011年のこと。3年前の2008年にリーマンショックが起きて世界的な不況で、会社の仕事もかなり減っていました。

しかも今考えてみると、旋盤部門は会社の中ではお荷物的なポジションで、利益を大きく出している部門ではなかったと思います。仕事内容を思い返してみても、普通旋盤で加工すると、どうやっても赤字という仕事がかなりあったと思います。

NC旋盤も複数台ありましたが、担当は基本的に1人で、昔誰かが作った手打ちのGコードでリピート作業に特化していました。私は普通の旋盤しか操作できず、師匠の後を継ぐことに専念していて、会社全体の動きが見えていなかったと思います。

■辞職も考えていた矢先に

入社から半年足らずで、社長の死とリストラの危機を迎えたわけですが、悲劇はこれだけではありませんでした。なんと、職業訓練校からの友人であるKくんが家庭の事情で退職することになりました。

5人しかいない旋盤部門のうち、2人が師匠で、もう1人が10歳以上年上のNC旋盤担当者。Kくんが唯一の普通旋盤の仲間であり、友人だった私にとっては大事件でした。

さすがにいろいろな考えが頭を巡ります。師匠たちはこの時すでに70歳くらいで、もしこの2人が退職すると、まだ20歳のペーペーの私が旋盤のトップになるのでしょうか。20歳の次が70歳、理由はわかりませんが中間が全くいないのです

当然、まだ師匠たちのような難しい加工はできませんし、数年で師匠レベルに達するのは難しい。

今回のリストラは、いわゆる仕事があまりできない人が対象だったのですが、働いている人からすると、次は私なんじゃないかと不安になり、不景気もあって社内の雰囲気は悪くなりました。

そして、できる人を求めて中途採用が積極的に行われました。ガチャガチャみたいなもので、できる人が来ればラッキー。研修期間中にダメだったら、さようなら。

私も「辞めたい」と感じることが増え、会社に対する不満も出てきていました。しかし、もうダメだと思った矢先、転機がやってきました。

それは、ケロさんとの出会いです! 私が卒業した年に職業訓練校へ入学したケロさんが、1年の訓練を経て会社見学に来たのです。そして、私たちは同じ会社で働くことになります。

ここからは怒涛の勢いで大変な日々が続きますが、皆さん、引き続きお付き合いください! 次回は、伝説の奮闘編です! お楽しみに~

2023910日号掲載)

工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ
工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は11.8万人(2023年8月28日現在)