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扉の先65/「自動化できない」なんて言わせない?

遠隔操作も金属加工もロボットで

ロボットSIer各社の取り組みでロボットでできることがどんどん広がっている。遠隔操作で人の手による微妙な操作を伝えたり、配膳ロボットを協働ロボットと組み合わせたり、異なるメーカーのロボットを同期して連携させたりすることだ。

FSW(摩擦撹拌接合)仕様にした6軸ロボットが金属板を接合する(トライエンジニアリング)

バイナス(愛知県稲沢市)が今年から提案を始めたのは川崎重工業の遠隔操作システム「サクセサー」(今年発売予定)を利用した「DRRアプリケーション」。人がアームを掴んで動かすと、離れたところにあるロボットが忠実にその動きを再現する。食品材料の撹拌などを主に想定するが、医療分野など人の微妙な手の動きを伝えたい様々な現場にも向く。バイナスは「モーフィング比率(人がアームを動かす距離とロボットが再現して動く距離の比率)調整が可能で、最小の操作でダイナミックな動きを伝えることができる」と省力化できるメリットも訴える。オプションの力覚センサーをつければロボットにかかる負荷を人の手で感じることができ、より繊細な作業に対応できるという。

金属加工も自動化する。トライエンジニアリング(愛知県名古屋市)は安川電機の250㌔グラム可搬の6軸ロボットをFSW(摩擦撹拌接合)仕様にした。同社はFSWや重切削用途には剛性の高いストーブリやKUKA製を取り扱ってきたが、「国産ロボットも剛性の高いものが出てきた」と岡丈晴・開発部長は言う。FSWロボットは10台ほどの出荷実績があり、「EVバッテリー関連などで5㍉ほどの厚板や深さのある板の接合ニーズが増えている」そうだ。

ロボット同士の連携

テックマンロボットの協働ロボット(14キロ可搬など)と配膳ロボットの組合せを提案するのはHCI(大阪府泉大津市)。協働ロボットはアーム先端部に搭載するカメラでモノを認識してピッキングし、配膳ロボットに載せる。配膳ロボットはあらかじめ貼り付けたマーカーを頼りに指定された位置へ移動する。HCIの奥山剛旭社長は「高精度のAGVほど正確な位置決めまでは行わないが、障害物を避け、小回り良く動き、投資コストを抑えられる」と言う。この配膳ロボットは同社本社ビルに今年1月末にプレオープンした社食兼カフェで配膳、食事後の食器の回収を担っている。

三明機工(静岡市)が今年から提案を始めたのはゴムパッキン自動組付けシステムだ。安川電機とユニバーサルロボットの2台の協働ロボットと、低価格カメラを用いてふにゃふにゃと変形する細長いパッキンを両端から3Dピッキングする。久保田和雄社長は「異なるメーカーのロボットを同期させて掴みにくいワークを受け渡しできる。これがなかなか難しい」と話す。