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扉の先76/中小企業向け協働ロボットをパッケージで

ミナミダ「低コストで80%の自動化」ユーザー視点で提案

 労働人口の減少は、直面している避けられない事実。とりわけ製造業の人材不足は深刻で、同時に生産効率の向上も求められる。しかしロボット導入やDX化と言われるものの、何が必要なのかどうすればいいのか不明瞭という声もある。
大阪府八尾市で冷間鍛造技術を軸に自動車の部品加工業を営むミナミダは、今年7月末からSIer事業を新たに立ち上げた。協働ロボットパッケージを提案する。「低価格」と「誰でも使えるシンプル設計」により敷居をグッと下げ、自動化を必要とする現場に一石を投じる。

協働ロボットm Robotiqsの設置風景。中国メーカーOEM製品の採用で大幅な価格低減を実現した。

100%の自動化ではなく、『80%の自動化』。それを低価格で提供することが、中小企業にとって最もうまみのある提案だと考えています」と、SIer事業を担う生産技術部大城圭司課長は基本方針を話す。

パッケージ内容は6軸多関節ロボット「m Robotiqs(エムロボティクス)M05」本体(可搬重量5㌔グラム)、コントローラー、ペンダント、ティーチングから操作指導、据付まで。エンドエフェクタやロボット架台、製品台、材料台は案件ごとに設計、製作。これらを500万円で購入から設置までを一貫で提供する。自動車の金属部品やプラスチックや樹脂系の小さなパーツ部品の搬送やワークの脱着、チャック内エアブローなどの用途を想定している。

「同様のパッケージプランなら1000万円程度の価格帯が多い」(大城課長)と大幅な低コストでの提供だ。SIer事業と生産技術部を掛け持ちとして必要な人員を補完、協働ロボットに中国メーカーのOEM生産品を採用するなどして低価格を実現した。

「我々も同メーカーの協働ロボットを業務で活用しています。求めるレベルは十分達成できています」と南田剛志社長は導入経験を基に実際的に使えるパッケージプランを打ち出す。初期費用を低額化し、1~2年で減価償却できる点もメリットだ。

■シンプル設計でロボット導入に弾みを

設計の方針について「シンプルな設計をベースとしています。そうすれば導入後もユーザーさんにロボットに触れてもらえますから」と大城課長は朗らかに話す。

2019年に6軸多関節ロボットを導入した同社。大城課長自身が取り付けから新製品の立ち上げラインへの設置など積極的に内製化に取り組んだ。その時のポイントも「なるべく簡単に組み立てて、他の社員が気軽にロボットに触れたり、取り付けできるようにする」こと。社員が業務を通して操作に親しみ、今回のSIer事業立ち上げにおいてもスムーズに人員確保できた。

「内製化していくうちに『想像していたより簡単だ』とロボット導入に弾みがつき、今では15台のロボットを導入しています。ノウハウを培い今回のSIer事業に繋がりました。中小企業におけるロボット導入の敷居を下げていきたいです」(大城課長)

「大手企業のオーダーなどにきめ細かく対応できるのは専業や大手のSIer」とした上で「『これだけでもできれば助かる』という中小企業の実需に応えたい。我々自身がユーザーだからこそ、お客様目線でロボットに求める内容や規模感など実直にお話できます。販売目標は25年までに100台です」と南田社長は話す。

「実際にロボットを導入している我々の工場をショールーム的に使えますので、安心感を持っていただけます」とユーザーならではの強みも笑顔で話した。
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南田剛志社長(右)・大城圭司生産技術部課長

2023910日号掲載)