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ジダイノベーター~未踏に挑むスタートアップ

連載

ジダイノベーターVol.4/労使双方のコストを大幅削減

CROSLAN(クロスラン)、特定技能外国人雇用をワンストップでカバー

国内における深刻な労働力不足の解消を目指し、2019年に設けられた在留資格「特定技能」制度。その活用が進んだ現在、多くの業種において外国人労働者が活躍している。

特定技能外国人雇用をワンストップで行える「SMILEVISA」

一方、企業が特定技能外国人を雇用するためには、いまだ煩雑な手続きや書類の作成といった面倒なプロセスを経なければならない。これが外国人人材登用におけるボトルネックにもなっている。特に昨今、優秀なASEAN圏の人材は韓国、台湾、中国でも人気。スピード感を持って採用を進めていかねば他所に取られてしまう。

こうしたなか、大阪のスタートアップ「CROSLAN(クロスラン)」が立ち上げたのが、特定技能外国人の受け入れ効率化とコスト削減を実現するクラウドサービス「SMILEVISA(スマイルビザ)」だ。

同サービスを立ち上げた川村敦代表は、神戸大学在学時からアジア圏のマンパワーに着目。卒業後はITエンジニアとして活躍したのちクロスランを起業。外国人労働者の登録支援機関として多くの特定技能者の受け入れや、人材定着支援を行ってきた。

「これまで多くの外国人ワーカーに携わってきましたが、いまだに多額の借金を背負わされて来日する、といったケースも少なくありません。また書類作成費用や採用コストなど受け入れ側の負担も大きくなりがちです。こうしたマイナス面を解消するのが当社のスマイルビザです」(川村代表)

スマイルビザは受け入れ先企業の属性や外国人人材のステータスを判別。受け入れ可能かを判定し、必要書類や適切な申請の流れを提示する。申請書はクラウド上の必要事項に回答するだけで簡単に作成できる。また各国言語の自動翻訳やマイナー言語に対応する通訳・翻訳サービスから不動産契約、スマホ契約などの生活支援サービスまで、外国人労働力の受け入れをワンストップでカバーする。

料金体系はサブスクリプション方式。月額基本料金は5000円からとなっており、企業規模に応じた価格設定にしている。

■クリーンな雇用環境の構築へ

今年3月末時点での特定技能1号在留外国人は64730人。そのうち4696人がベトナム出身となる。だが、ベトナムには正規の送り出し機関以外に多くの日本企業向け「ブローカー」が存在し、来日希望者が手数料や保証金といった名目で100万円を超える金額を支払わされる場合もあるという。また日本企業側はこうしたブローカーに対して余計な仲介手数料を払う必要も生じる。これら不当な中間搾取は、働き手にも雇用主にもマイナスでしかない。

「当社ではベトナムなど各国に拠点を置き、外国人労働者と受け入れ企業を直接マッチングする『SMILEマッチング』を立ち上げています。企業側はこれまで外部に委託していた採用コストを削減することができますし、働き手はブローカー頼みだった日本での就職情報を得ることができるので、自分に適した就労機会を得ることができます」(川村代表)

外国人労働力の採用に対しては、追い風も吹きはじめている。コロナ禍を経て渡航制限も各国でかなり緩和されはじめている。加えて入管法の改正もプラスに働きそうだ。

特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、1号の通算在留期間は最大5年間。これに対し、2号の通算在留期間は無期限。更新申請が許可されれば永続的に日本での就労が可能になるが、これまで建設と造船・船舶工業の2分野でしか2号が認められなかった。しかし2022年度にも「建設」「造船・舶用工業」以外の11分野に2号が追加される見通しで、実現すれば特定技能14分野のうち、13の分野で2号が認められることになる。

川村代表は、「当社が目指しているのはクリーンでオープンな外国人労働市場の創出です。スマイルビザやスマイルマッチングはそのためのソリューションのひとつ。IT技術で面倒な書類仕事や言語のハードルを下げることで、チャレンジしたいアジアの若者と労働力不足に直面している企業の架け橋となりたいですね」と笑顔で語ってくれた。

(2022年6月10日号掲載)