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けんかっ早いけど人が好き Vol.64

イタリアに行きたい

イタリア留学から帰国したあとしばらくのあいだ、イタリア人の友人たちとは疎遠になっていたけれど、SNSを使ってふたたびつながることができた。IT技術のおかげで、今、クリスマスの挨拶はビデオチャットで交わすようになったものの、それでも毎年、クリスマスカードは送っている。なにせ、日本のグリーティングカードはデザインがかわいいのだ。アメリカ、イタリア、フランス、イギリス......と各国のカード事情をチラ見しても、日本のカードはずばぬけてかわいい。ゆえに毎年、これぞ日本のクリスマスカードというものを選んで送っている。

こちらは昨年のクリスマスカード。構図が秀逸。

ところが、2年前の12月のこと。いつものようにクリスマスカードをポストに投函したところ、うちの郵便受けにもどってきたのだ。封筒には紙がはりつけてあり、「コロナの影響でイタリアへの航空便は受付を停止中」とあるではないか。なんですと?

あわてて郵便局に駆け込み、クリスマスカードはどうしたらいいのかと尋ねると、船便ならあるという。しかし、窓口のお姉さんは、「船便だと着いたときは湿気でしわしわになっているのでお勧めできません」というではないか。なんて正直な郵便局職員。好きだなあ、こういう人。

仕方ない。今年はクリスマスカードをあきらめてもらおう。そう思いSNSにその旨を書いたところ、すかさずイタリア人の友人から返事があった。

「ルミコがくれるクリスマスカード、毎年、とってあるのよ。コレクションが欠けるじゃないのよ!」(意訳)

船便で送ろうか、しわくちゃになるよと伝えたら、それはいやだという。最終的に、遅れてもいいから航空便が再開したらすぐに送ることになり、結局、半年遅れのメリークリスマスになった。

ところで、新年が明けたのになぜクリスマスの話題なのかというと、イタリアでは16日までクリスマスシーズンなのである。この間、いい子にしていれば、ほうきに乗って現れる魔女ベファナがお菓子をくれて悪い子なら燃えた炭をくれるため、子どもたちはがんばっていい子で過ごすというわけだ。

イタリアの年末年始をちょっぴり懐かしく思いつつ今年こそ、友人たちに会いに行きたいと目論んでいる。

2024110日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『法律がわかる! 桃太郎こども裁判』(講談社)