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けんかっ早いけど人が好き Vol.68

ビタミンD

ビタミンDは、骨を丈夫にすることで知られている。カルシウムの吸収をよくするのだ。高齢になり骨が弱ると転んだだけで骨折だの、背骨が圧迫骨折して背が縮むだのと恐ろしい情報が飛び交っている。これはもうカルシウムと同時にビタミンDも摂らねばなのだが、ありがたいことに、ビタミンDは太陽を浴びると体内で作られるという安上がりなビタミンである。ならばいい加減な食生活でも日々、ウォーキングをしている私は大丈夫であろう。

太陽の光は偉大。クレーンもさらに神々しい姿に(重機好き)!

しかし、冬のウォーキング姿を鏡に映して不安がよぎった。マフラーに手袋はもちろんのこと、頭部は毛糸のキャップにマスクにサングラスと、肌がほとんど露出されていないのだ。紫外線はこんな厚着でも届くのか? すると、独立行政法人国立環境研究所と東京家政大学との共同研究論文が出ていた。私の都合にそって勝手に解釈すると、やはり衣服で覆われた部分は紫外線の吸収が妨げられているようだ。なぬお! 

この論文によると「健康な生活を送るために必要な1日のビタミンD摂取量すべてを体内で生成するために、両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定」したときに、「7月の晴天日の12時には、つくば市では35分でOK」だという。しかし、「12月になると224分。太陽高度の低い札幌では、764分が必要」とある。太陽の強さは夏と冬、都市の緯度によって異なる。そして両手と顔を露出しないとビタミンDを作ることはむずかしいということだ。つくば市より緯度の低い東京とはいえ、冬の私のウォーキング姿では、ほとんどだめではないか。正直なところ顔はさらしたくない。紫外線はビタミンDを作るけれど肌には大敵。骨折は嫌だがシミしわも受け入れがたいのだ。となると、手だ。手袋をはずすか。すると、朗報にも巡り合った。手のひらはメラニン色素がないため、手のひらを太陽に向けると短時間で効果があるという。それだ!

かくして私は手のひらを太陽に向けることにした。ただ、ウォーキング中はいいのだが、銀座の大通りで友人とふたりでやったときは黒魔術でもしているかのような怪しい風情になり、変な目で見られまくった。でも健康のためには人目なんて気にしちゃいられないのよ、ふん!

2024310日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『法律がわかる! 桃太郎こども裁判』(講談社)