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NKE 代表取締役社長 中村 道一 氏

エアチャック、コンベヤで自動化
残る人の作業をエアサポで軽減

NKEはエアチャック、コンベヤ、省配線機器ユニラインなどの設備機器単体の製造・販売だけでなく、特注品対応や、豊富な自社商品の組み合わせによるモジュールの提案などで自動化や作業負担の軽減をサポートしている。さらに機械に置き換えられない人間の作業部分の負担軽減にも注力し超小型アシストスーツ「エアサポ」を開発した。中村道一社長にポストコロナの戦略を聞いた。

超小型アシストスーツ「エアサポ」を手に 中村道一社長

――直近の事業の進捗の振り返りと今期の状況を教えてください。

「コロナ禍の影響が一番大きかったのが昨年度でした。今年度は、足元だけ見ればコロナ前に回復しました。ただし型番商品の積み重ねではなく、特注品や一時的な大口案件などの比重が大きく、経営の持続的安定性では課題が残ります。業種で言えばEVシフトに関わる電池関連は好調で、パレタイズやストック機構、部品の搬送などの受注が増えています」

――特注対応ではどのような事例がありますか。

「電池関連のフィルムの搬送で、流して止めての間欠送りをするのですが、薄くて飛んでしまったりズレてしまう課題がありました。そこで標準機のコンベヤのベルトにバキューム構造を組み込み吸着させました」

――キャラバンカーをつくられたとか。

「コロナ禍での展示会の中止などでPRの機会が失われたこともあり、顧客とのコミュニケーションを促進すべくキャラバンカーを作りました。標準機だけでなく、先ほど申し上げたバキュームコンベヤなど解決事例を多く載せているのが特徴で、現在フル活動しており新規取引の獲得も増えています。ほかにも手押し台車のモジュールが好評ですね。台車に乗せた荷物は最後、人手で棚に入れていましたが、そこを自動化します」

――手押し台車以外にもAGVのソリューションもありますか。

AGVも、どこかで人の手が必要で完全自動化にならないことが往々にあります。AGVの上物オプションとして、ストックと押し出しコンベヤを合わせた装置を開発しました。受け入れ場所にドッキングして自動で流せます。自動化で極力、人間が作業する部分を少なくし、それでも残る人間の作業は負担軽減を図ります。我々は『Humanized Automation』を掲げています」

■人工筋肉には京都の組み紐の技術

――超小型アシストスーツ「エアサポ」はそのコンセプトから生まれましたか。

「動力を必要とするパワースーツでは嵩張りますし値段も高く、モノづくり現場で気楽には使えません。人工筋肉などを使って負担を軽減でき、服のように着られるアシストスーツを開発する中で、まず腰部に特化したエアサポを先行発売しました。ユニチカガーメンテック調べで作業中の腰への筋負担が50%も軽減できることがわかりました。クラウドファンディングも実施し、目標の5300%と非常に大きな反響がありました」

――人工筋肉には京都の組み紐の技術が用いられているとお聞きしました。

「組み紐の内部に弾性体(チューブ)が入っており空気圧を掛けることで収縮力を生みます。少ない力で効果を出すために組み紐の角度や編み方などが重要で、組み紐屋さんや職人さんと試行錯誤して作り上げました。実際にモノづくり現場での活用も進み『長時間の立ち作業をした後の疲労感がかなり少なくなった』や『エアを入れてきゅっと締める感が良い』などの声が届いています。現在、法人を対象にサンプル貸し出しも行っており、3~4割が購入につながっています」

――開発中の新製品があれば教えてください。

「コンテナを積み上げておくだけで、後部のロボットがピッキングしてくれるユニットを開発中です。下から5段目のコンテナをピッキングする場合、6段目から上を持ち上げ5段目だけ中抜きすることで棚がなくても簡易自動倉庫を実現します」

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キャラバンカー

20231025日号掲載)